ご質問の回答(32)ー株価急騰時の保有株の対応

<ご質問>

足立様のブログおよび、楽天コラムを毎回楽しみにしています。
私はずっと自分の投資方法が確立できず、
利益を出してもその後の下落で、結局それ以上の損失を出してしまい、
長年満足のいく結果を出すことができませんでした。

しかし、足立様が提唱する株価トレンド分析を用いてからは、
下落局面に非常に強くなり、かつ利益を伸ばせるようになり、
非常に安定した投資ができるようになりました。

現在、株価トレンド分析投資法でトライ&エラーをくり返すうちに、
ひとつ疑問が出てきました。
それは保有銘柄の上昇スピードが増していったときの対処法です。
具体的な例としては「中村超硬(6166)」という銘柄を保有していますが、
ここ数日急ピッチで株価が上昇しており、25日線との乖離率も40%近くになっています。(7月3日時点の株価です)
株価が急騰するのは嬉しいですが、マザーズ市場は値を下げるスピードも速いため、
25日線を割るまで待った場合、利益の大半がなくなってしまう可能性もあると思います。

足立様でしたら、25日線割れまで保有し続けるでしょうか?
もしくは天井を示すチャートが現れた場合、売却されるでしょうか?
お手数ですが、お時間のある際にご回答いただけたら幸いです。

<回答>
ご質問ありがとうございます。
確かに、短期間の株価急騰は、嬉しい反面、利食いのタイミングが難しくて困ってしまいますね。

あくまでも原則は25日移動平均線割れで売却ですが、短期間に株価が急騰した場合、自分なりのルールを設定し、それを実行するというのが実践的な対応です。

例えば、私であれば25日移動平均線からのかい離が100%に達したら保有株の2分の1~4分の1程度を売ることが多いです。しかし、かい離が50%程度なら売却はせずに保有を続けます。

確かに、50%のかい離で売却せずに保有を続けることで、その後の急落でほとんど利益を出すことができずに終わってしまうこともあります。
でも、その逆に、50%のかい離で売却しなかったことにより、さらに利益を大きく伸ばすことにつながるケースもあります。

中村超硬株も、1500~1600円どころから一気に上昇し、5月下旬に50%かい離となっています。そこから株価は調整したものの、25日移動平均線を割り込まずに再度上昇を続け、今回の3000円超えの上昇につながりました。もし5月下旬のところで売却していたら、それ以降の株価上昇は取れなかったでしょう。

私は、できるかぎり利益を最大限伸ばしていきたいので、よほど短期間に急騰しない限りは保有を続けます。
中村超硬株も保有していますが、25日移動平均線を割り込むまでは売却しないつもりです。1500円どころで買っていますから、ここから株価が下落して25日移動平均線割れで売却しても50%の利益は残ります。私はそれで良しとします。
40%かい離で売却してそれ以上の株価上昇を捨てるか、40%かい離では保有を続け、売却すれば得られたはずの利益をその後の下落によりフイにするか、どちらの可能性もありますから、最後はご自身の判断で決めてください。

なお、これ以外に結構使える実践的な対処法として、25日移動平均線の代わりに5日移動平均線を使う方法があります。つまり、5日移動平均線を割り込んだら売却するのです。5日移動平均線の割り込みは、25日移動平均線の割り込みよりはるかに高い株価水準で発生しますし、株価が上昇し続ける銘柄というのは、5日移動平均線を割り込むことなく上昇することが多いからです。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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