今日の日本株(2016年12月29日)

<今日の日本株>
年内最終取引日を翌日に控えた12月29日の日本株は、久しぶりに大きめの下げに見舞われました。日経平均株価の終値は前日比256円58銭安の19145円14銭でした。TOPIXも大幅安、マザーズ指数も下落しています。

値上がり銘柄数843に対して値下がり銘柄数2681と、指数大幅安の割には値上がり銘柄も結構多かった印象です。年初来高値更新銘柄は56と今月最少となりました。年初来安値更新銘柄は4でした。
騰落レシオも119.6%となり、最高値165%からはかなり低下してきました。健全な調整局面が継続しているとみてよいでしょう。

今日のADA指数は60.5%となり、前日の82.5%から大きく低下しました。今日の株価下落により、25日移動平均線を割り込む銘柄がかなり増加したため、保有株の売却ないしツナギ売りを進めた結果です。私はポジション調整をする際はかなり大胆に行いますので、ADA指数が1日で20%・30%変動することは珍しくありません。
決して弱気になっているわけではありませんが、先駆して上昇した大型株を中心に25日移動平均線を割り込む銘柄が一気に増加しました。例えば、みずほフィナンシャルグループ(8411)、ジェイテクト(6473)、パナソニック(6752)、ジェイエフイーホールディングス(5411)などは軒並み25日移動平均線を割り込んでいます。
もう1つ、株価が25日移動平均線を超えて買いタイミングであるとした銘柄が揃ってボロボロで、頭打ちからさっそく下落に転じている銘柄が目立っています。新規買いすべきタイミングで新規買いした結果、株価が伸び悩んでうまく行かなかった、ということも、現在の日本株が全体としてみれば調整局面にあることの表れと思います。
ここからはさらなる株価調整に注意が必要と感じます。

 

<個人投資家が全く儲かっていない「トランプ相場」>
11月中頃からはじまった「トランプ相場」ですが、個人投資家の大部分はうまく乗れていないことは前々から指摘されていました。最近発表された「信用評価損益率」は、その指摘が事実であることを如実に表すものとなっています。
信用評価損益率は簡単に言えば、「信用取引の含み損益」のことです。基本的にマイナスで推移し、マイナス数%まで改善すると株価は天井近しと判断されます。大相場となった場合はこれがプラス圏に突入することもあります。
11月4日の信用評価損益率はマイナス12.36%でしたが、これが12月9日にはマイナス7.06%まで改善しました。しかし、12月22日時点では再び悪化してマイナス9.06%となってしまっています。
足元の日本株の上昇を、経済実態が伴っていないとして「バブル」であると指摘する専門家の方もいらっしゃいますが、個人投資家が全くといってよいほど潤っていない段階でバブルが崩壊することはあまり考えにくいです。やはり個人投資家も潤ってきて、総強気となった時点ではしごを外される、というのが通例です。
となれば、マイナス7.06%までしか信用評価損益率が改善していない状況はバブルでもなんでもなく、単にちょっとした上昇波が訪れただけです。
でも、信用評価損益率がマイナス3%になり、プラスマイナスゼロになり、そしてプラス圏に突入した場合は、個人投資家もかなり潤った状況になっていますから、そうなったらバブル崩壊や突然の株価急落に気を付けるべきです。
足元の相場は、バブルにおびえる必要は全くなく、保有株が25日移動平均線を割り込んだら淡々と売却する、25日移動平均線を上回ったら新規買いする、といういつも通りの行動をしておけば十分でしょう。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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