ご質問の回答(1)

これまでにいただいたご質問の回答をいたします。大変遅くなりまして申し訳ございません。

(ご質問1)
いつもブログ楽しみに拝読しています。本当に勉強になりお忙しい中、筆をお取り頂き、感謝あるのみです。質問です。ADA指数の具体的な算出方法がいま一つ理解できません。私も自分の資産管理でmy指数を算出していますが、現物は分かるのですが空売りし、買い戻す、あるいは一部売却、買い増し等、具体的な算出式を数字で教えて頂ければ有り難いです。6/23の「そうした銘柄にヘッジの空売りをつけると、本当ならその時点でプラスマイナスゼロなのに」の意味も分かりません。個人的にでなくとも、お暇な時にブログでご回答頂ければと思います。宜しくお願いします。

(回答1)
まず、大前提としてADA指数は取得した株式ないし空売りした株式を「時価ベース」ではなく「取得原価ベース」で考えます。これは、私自身が投資可能資金のうちどのくらいの金額を実際に投じているのかを知りたいため、そして日々の指数集計が簡単にできるからです。
これを踏まえて、下記の計算例をご覧ください。理解しやすいよう、できるだけ数値を単純化して説明します。

(1)投資可能資金が1000あり、そこからA株、B株、C株、D株、E株をそれぞれ100、計500買ったとします。このときのADA指数は500÷1000=50%となります。

(2)A株からE株のいずれも首尾よく株価が180まで上昇しました。しかしADA指数は「時価ベース」ではなく「取得原価ベース」(どれだけ原資を投入したか)で計算しますのでADA指数は50%のままです。

(3-1)A株からE株のいずれも、150まで株価が下落して下降トレンドに転じたので、全て売却しました。これにより保有株はゼロとなりますので、ADA指数は0%となります。

(3-2)A株からE株のいずれも、150まで株価が下落して下降トレンドに転じたので、保有株を持ったまま、同株数を空売りしました。これにより空売りを加味したADA指数は以下のとおりとなります。
・保有株:100×5銘柄=500
・空売り:△150×5銘柄=△750
・ネットして△250
⇒ADA指数は△250÷1000=マイナス25%

(3-1)と(3-2)は、保有株を売却したか、保有株はそのまま残して同株数を空売りしたかの違いです。両者において損益面での違いはありません。
しかし、ADA指数は(3-1)は0%に対し(3-2)はマイナス25%となり、両者で数値が異なることが分かります。

私は、安く買えた銘柄はできるだけその買値を大事にしたいと思っています。例えば1000円で1000株買った銘柄が5000円まで上昇した後4500円まで下がって下降トレンドに転じたとします。ここで現物株を売却した場合、その後株価が再度上昇トレンドになって4500円で買い直すとなったとき、果たして1000株×4500円=450万円をその株に再度投じることができるかといったら、おそらくできません。1000株ではなく400株とか500株に減らして買い直すと思います。
しかし、現物株を保有したまま同株数を空売りした場合、4500円×1000株を空売りし、再度の上昇トレンド復帰で同じく4500円×1000株を買い戻しても、現物株はそのまま1000株残りますから、引き続き1000株を投資し続けることができます。
もし、この銘柄が買値から10倍、20倍にまで上昇した場合を考えれば、一時的な下降トレンドへの転換時は現物株の売却ではなく空売りでヘッジしておいた方が、後々より大きな利益を得らえる可能性が高まります。

上の(3-2)の例で、5銘柄全部ではなく5銘柄のうち3銘柄が下降トレンド転換したため150で空売りしたとします。この時のADA指数は(100×5-150×3)÷1000=5%となります。ADA指数はゼロ近辺まで下がっていますが、実際は5銘柄のうち2銘柄(全体の40%)は保有を続けていることになります。
実際、現物株を売却するのではなく空売りにより値下がりをヘッジする場合、現物株の取得価格と空売りの実施価格に差が生じる(空売りの実施価格の方が高くなる)ため、ADA指数がゼロとなっても、買いと売りをネットすればまだ多少買いが残る状態となります。

現状、私の保有株には安く買えた現物株もそれなりに有していて、それらの銘柄が下降トレンドに転じた時は保有株をそのまま残したうえで空売りによりヘッジすることが多々あります。そのため、実際に買いと空売りをネットして差し引きゼロとなるのは、ADA指数がマイナス15~マイナス20%に達したあたりです。ADA指数がプラスマイナスゼロのときは、実際は投資可能資金の15%ほどの買いがまだ残っているということです。

なお、一部売却や買い増しなどの場合も基本は全て「取得原価ベース」で計算する形になります。一部売却の場合は売却した株の取得原価を差し引いてADA指数を計算、買い増しの場合は買い増した株の取得原価を加算してADA指数を計算します。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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