6月24日の日本株と今週の投資戦略

<セミナーの御礼>
はじめに、本日6月26日の東京国際フォーラムでのセミナーには、多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。ご参加された方の多くがブログをご覧いただいていること、そして「ブログを毎日読んでいます」というお声も多数頂戴したこと、大変励みになります。実際のところ、毎日ブログを更新するのはかなりしんどいのですが、個人投資家の皆様のお役に立てているのだという喜びを胸に、頑張っていきたいと思いますので応援よろしくお願いいたします。
また、会場の都合で十分にご質問をお受けする時間が取れず、申し訳ございません。時間がなく会場で質問できなかった、ということがございましたら本ブログの問い合わせフォームからご質問していただければできる限りご回答させていただきます。

<6月24日の日本株>
6月24日の日本株は、イギリス国民投票の開票状況が明らかになるとともに株価が上下に大きく揺れ動く相場となりました。そして、EU離脱がほぼ確定であることが伝えられると一気に円高・株安が進み、結局日経平均株価は前日比1286円33銭安の14952円02銭と歴史的な急落となってしまいました。下落率はおよそ8%に達し、下落幅は歴代8位、日中値幅も16年ぶりの大きさとなりました。マザーズ指数はさらに悲惨な下げとなり、終値ではだいぶ戻したものの、一時は15%近くの暴落となりました。
6月24日のADA指数はマイナス29.5%となり、前日のマイナス17.3%からマイナス幅が大きく拡大しました。新規空売りはほとんどしませんでしたが、株価急落により保有株の売却ないしヘッジ売りがさらに進み、保有株はかなり少なくなりました。圧倒的に空売りが多い状態です。今はこの空売りをいつ買い戻すかを思案しているところです。

<今回の急落はある程度回避できたはず>
金曜日の朝方までは、「残留がほぼ決まった」というような雰囲気でしたので、金曜日の寄り付きで新規買いをした方も少なくなかったのではないでしょうか。私も、もちろん上昇トレンドにある銘柄だけですが、いくつかの銘柄を新規買いし、その結果急落に巻き込まれて余計な損失を被りました。
それでも、本ブログに書いたとおり、空売りの方が多い状態で金曜日を迎えましたので、買いの損失と空売りの利益をトータルすると若干のプラスで終えることができました。
これは何も私がイギリスのEU離脱を予想して空売りを大量に仕掛けたわけではなく、すでに多くの個別銘柄が、イギリスの国民投票を待たずして下降トレンドにあったため、買い建てを減らし、空売りを増やすというごく自然な行動をした結果、たまたま金曜日の暴落で損失を被ることがなかったというだけです。
もちろん、金曜日1日だけをみれば損失はありませんが、それ以前に買い建ての損切りなどが数多くありましたから、今年のピークよりは利益ないし含み益はかなり減ってはいます。でも、私の運用成績は日経平均株価の昨年末から現在までの下落率21.4%に比べれば、はるかに小さい下落率で済んでいます。
私の投資手法はどちらかというと守り重視ですから、下げ相場に強いことを常に自負していますが、今回も浅い傷で乗り切ったことで、私のやり方は間違っていないと確信しているところです。そういう点で、私の日々の投資行動をブログで記して個人投資家の皆様の参考にしていただくことは決してマイナスにはなっていないと信じています。

<なぜ他国の問題なのに日本株が最も大きな影響を受けるのか>
ところで、今回のイギリス国民投票の結果を受けて、最も大きく値下がりしたのは日本株でした。NYダウも600ドルほど下落しましたが3%台であり、8%下落の日本株よりはるかにダメージが軽いです。そして、イギリスのFTSE100に至っては、取引時間中に大きく下落したものの、終値ではかなり戻して引けており、「なんでイギリスの問題なのに当のイギリス株より日本株の方が大きく下落するのか」と憤慨したくなります。
しかしこれは、今の日本株の状況からすれば仕方がないことです。今の日本株には主体性が全くありません。日経平均株価はNYダウとドルー円レートの変数として動いているだけです。NYダウが下がれば日経平均株価も下がり、円高になれば日経平均株価も下がります。そしてNYダウと円高が同時に起これば日経平均株価は暴落するのです。
もう1つ、世界中で何か問題が起きた場合、なぜか必ずといってよいほど円高となります。ですから、世界同時株安となっても、円高になる分だけ日本株が余計に下がってしまうのです。
日本株を投資対象にしている私たちとすれば、日本株はこういうものだ、とあきらめるほかないですね。そのうえで、今であれば為替の影響を受けにくい成長株を投資対象のメインに据えるのが正攻法だと思います。

<ここから逆張りの買いを狙いにいくべきか>
ここまで株価が急落すると必ず出てくるのが、「逆張りの買い」をするかどうかです。現に、多くの「専門家」は買いのチャンスであるとアドバイスしているようです。
しかし、外れても懐の痛まない「専門家」ではなく、外れたら資産が減ってしまう「個人投資家」の私からみれば、逆張りの買いをいれようとは全く思いません。
確かに、短期的には売られすぎの局面ですが、株価のトレンドでいえばだれがどう見ても明らかに下降トレンドです。さらに、イギリスの国民投票を契機に、他国でもEU離脱や、独立運動などの動きが広がることが予想されます。株式市場は、政治的な不安定を好みませんから、今後様々な問題が噴出して、そのたびに株価にマイナスの影響が及ぼされる恐れがあります。
さらに日本にとって厄介なのが、世界各国で何か問題が起こると、たいてい円高の方向に振れてしまう点です。
思えば今年に入ってから、株式市場は厳しい局面が続いています。こんなときに下手に「逆張りの買い」を狙っても、返り討ちにある可能性が高いと思います。何もバリバリの下落相場まっただ中でリスクを冒してまで底値買いを狙わなくとも、株価が落ち着いてきて上昇トレンドに転じてから買っても全く遅くないと思います。
私も、どうしても買っておきたいというごく一部の銘柄については下降トレンドであっても新規買いをするかもしれませんが、その場合でも必ず直近安値割れを損切りとして逆指値注文を入れます。
多くの個人投資家は逆張りが大好きです。そして、多くの個人投資家は株式投資で利益を上げることができていません。つまり、逆張りばかりを繰り返していては株式投資で成功しないということです。このことにいち早く気が付いた個人投資家が勝ち組になっていくはずです。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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