今日の日本株(2016年2月9日)と今後の投資戦略

<今日の日本株>
2月9日の日本株は、日経平均株価が前日比918円86銭安の16085円44銭と暴落しました。一時は16025円94銭と、1月21日の安値16017円26銭まであとわずかというところまで下落しました。
さすがにここまで上昇トレンドで頑張ってきた銘柄も多くが陥落し、ADA指数は△19.7%(前日は△4.7%)と大きく低下しました。保有株より空売りの方が少し多くなっている状態です。

<二番底形成かどうかはどうでもよい>
ここまで日本株が壊れていてもなお、一部の「専門家」たちは、「底割れせずに踏ん張れば二番底形成だ」とコメントしていますが、はっきり言って日経平均株価が二番底形成するのか底割れするのかはどうでもよい話です。
ADA指数が2月5日以降マイナスであることからも分かるように、私のルールでは、現時点で上昇トレンドを維持している銘柄を除いては保有株はない、という状態だからです。仮に日経平均株価が底割れしようが、二番底から反発しようが、個別銘柄が下降トレンドにある限りは新規買いおよび保有はせず、上昇トレンドに転じたら新規買いすればよいだけだからです。
そもそも、日経平均株価の底割れうんぬん以前に、多くの個別銘柄がすでに底割れしてしまっている事実、これを重要視しなければなりません。

<ドイツ銀行株がリーマンショック時の安値を割り込んでいるという事実>
日本のマスコミはあまり報道していないようですが、ドイツ銀行の株価はリーマンショック時の安値を割り込んで大きく下落しています。実はマーケット参加者は、ドイツ銀行発の金融危機が勃発しないかどうか、かたずをのんで見守っているのです。
こうした中、「日本やアメリカの景気は悪くなく、企業業績も好調だから株価は安すぎる」とか「押し目買いの絶好のチャンス」「株は今のような安い時に買うものだ」などと呑気なことを言っている「専門家」のコメントを鵜呑みにすると、取り返しのつかないことになってしまいかねません。
リーマンショックの時もそうでしたが、足元の景気が悪くなくとも、金融危機により株価が急落すれば、それを原因として景気は急速に悪化します。
金融危機による暴落が本当に起きれば、ファンダメンタルもテクニカルも一切通用しなくなります。株であれば何でもかんでも大きく売られてしまいます。「誰がどう見ても売られすぎ」の水準からさらに暴落し、このままでは株価がゼロになってしまうのではないか、という恐怖心が生まれます。

<利益を追求するのではなくまずは生き残ること>
こうした暴落の際、多くの保有株を持ったままでいると、再起不能になって株式市相場から退場させられてしまいます。
私は、株式投資とは「生き残りのゲーム」だと思っています。99回成功しても、たった1回の大失敗で財産を失うのが株の世界です。ここまで世界中のマーケットが変調をきたしているのですから、この期に及んで底値で買って利益を得ようとするのではなく、「大失敗を避ける」「まずは生き残る」ことを最優先すべきです。

<上昇トレンドに転じてから買えばよいと思えば気持ちが楽になる>
もちろん、足元の日本株は売られすぎであることは私も百も承知です。でも、株価が暴落するときは、そんなことお構いなしに下げ続けるのもまた事実です。
もしここから株価が踏ん張って、日経平均株価が二番底を形成したところで、個別銘柄が上昇トレンドに転じるのを待って新規買いすればよいだけのことです。その意味では、私のように下降トレンドの銘柄を保有しないようにしておけば、その後日本株がいくら暴落しようとも損失は限定的ですから、平常心で相場を眺めることができます。ここまで株価が壊れると、底打ちから多少反発した程度では上昇トレンドにはなりませんから、仮に急速なリバウンドがあったとしても慌てずに戦略をたてることができます。
最後は平常心を保てずパニックになった投資家が大きくやられることになります。今日の日経平均株価900円安で平常心でいられなかった方は、ご自身の投資スタイルやポジション管理について、今一度見直してみてください。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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