<3月10日の日本株>
週末かつ、アメリカの雇用統計発表を控えた日本株は、まるで雇用統計発表後の円安を先取りするかのような動きとなりました。日経平均株価の終値は前日比286円03銭高の19604円61銭でした。TOPIXも大きく上昇しました。マザーズ指数も上昇しましたが、やはりいつものように、日経平均株価が大きく上昇したため、それに比べて小さな上昇にとどまっています。
そのことは値上がり銘柄数にも顕著に現れており、日経平均株価が300円近く値上がりしたにもかかわらず、値上がり銘柄は2422にすぎず、値下がり銘柄が1089もありました。
私は最近中小型株の比重が結構高くなっているため、日経平均株価が軟調でも損益がプラスのことが多かった反動で、金曜日はあまり利益が増えませんでした。
昨年来高値更新銘柄は244と再度かなり増えてきました。昨年来安値更新銘柄はゼロでした。
金曜日のADA指数は75.9%と、前日の75.2%とほぼ横ばいでした。ただ、トータルの投資額があまり変わらなかっただけで、銘柄入れ替えは結構実行しました。
全体としては、強気を維持していることに全く変更ありません。
<売りタイミングは絶対に逸してはならない>
足元の相場は、相変わらず個別銘柄により動きがまちまちになっています。ジャパンインベストアドバイザー(7172)、スミダコーポレーション(6817)など順調に上値追いをしている銘柄もある一方、アドバンテスト(6857)やソフトバンクグループ(9984)など、25日移動平均線を下回る銘柄も相当数あります。
しかし、そうした銘柄も、株価が大きく下げるというわけではなく、下げ幅は小幅にとどまっています。アドバンテストのように、空売りの急所と思っても、そこから下げずに反発するケースも目立ちます。
こうしたことから、銘柄により強弱に差はあるものの、空売りで利益を狙うような下げ相場では決してないことが分かります。
ただ、下げ相場がいつ訪れるかは分かりませんし、個別銘柄によっては、相場全般が堅調でも、大きく値下がりするものもあります。
ですから、買おうとしていた銘柄の買いタイミングを逃すことはそれほど問題になりませんが、保有している銘柄の売りタイミングは絶対に逃さないようにしてください。
これが甘いと、いつか必ず訪れる大暴落の際に、それまで得た利益が全て吹き飛ぶどころか、資産が簡単に半分以下になってしまいます。
暴落が来る前から、売りタイミングを逃さないよう練習しておくべきです。
例えば、金曜日でいえば、ユニバーサルエンターテインメント(6425)の株価が大きく下落し、25日移動平均線を明確に割り込んでいます。もし私が現時点でこの銘柄を保有していれば、月曜日の寄り付きで売却しますし、金曜日の昼休みの時点ですでに25日移動平均線を明確に割り込んでいたら、その段階で売却してしまいます(実際には金曜日の昼休みに売却注文を出し、すでに売却済みです)。
今売って、すぐ反発するかもしれない、と思って売らずにいるのは間違っています。すぐ反発して再度25日移動平均線を上回ったら買い直せばよいだけです。それより、この段階で売らなかった結果、株価がどんどん下がって手も足も出なくなることだけは絶対に避けなければならないのです。
私の投資手法は、攻めるべき時はとことん攻めますが、いざ守りとなれば徹底的に守ります。株式投資で生き残るには、「より多くの利益を得る」ことではなく「大きな損失を出さない」ことの方がはるかに重要です。これは、私が身銭を切って投資し、過去に大きな失敗もしてきているからこそ分かる事実です。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。