8月10日、フォトクリエイト(6075)に対し、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の子会社であるフォトライフ研究所がTOBを行うことが発表されました。これを受けて、フォトクリエイトの株価は、買付価格である1950円に近い株価で今後は推移することになります。
ところで、今回のフォトクリエイトのように、保有株がTOBによる買収対象となった場合、どうすればよいのかと困ってしまう個人投資家の方は少なくないと思います。そこで、対応方法とそれぞれのリスクについて考えてみたいと思います。
なお、今回のフォトクリエイトのTOBは、フォトライフ研究所が全株の取得を目指し、TOB後はフォトクリエイト株は上場廃止となる予定です。TOBの中には、TOB後も上場が維持されるパターンもありますが、本稿での説明はTOB後上場廃止となるケースを前提としている点にご留意ください。
TOBの対象となる株式を保有している場合の対応法は主に以下の3つです。
(1)TOBに申し込む
TOBに申し込めば、フォトクリエイトの場合は1950円で買い取ってもらえます。ただし、TOBが中止になったり不成立になった場合は買い取ってもらえず、TOB発表前の株価水準にまで下落してしまうリスクがあります。
(2)市場で売却する
通常、TOB後の上場廃止を予定したTOBの場合、株価は買付価格(フォトクリエイトの場合は1950円)に近い価格、おそらく1930円~1940円程度で推移します。TOBに申し込まず、株式市場にて通常の売買取引により売却すれば1950円に近い価格で売却できます。
市場で売却することのメリットは、TOBが不成立になったり中止になることで株価が下落するリスクを回避し、確実に1950円に近い価格で売却できることです。
なお、フォトクリエイトの場合は友好的買収ですが、そうではなく敵対的買収の場合は他に買収希望者が表れ、買付価格の吊り上げ合戦が展開されることもあるためしばらく様子見をした後で売却した方が良いというケースもあります。
(3)保有を続ける
TOB後、その株が再上場となることを願って、TOBに応募せず保有を続けて再上場を待つという選択肢もありますが、あまり現実的ではありません。通常、TOBが成立した場合、TOBに応募しなかった株主が保有する株を強制的に買い取る(スクイーズアウト)ことになっているからです。これはいわゆる「二段階買収」と呼ばれるもので、フォトクリエイトのケースも該当します。
つまり、保有を続けたとしても、TOBの買付価格と同水準で強制的に買い取られてしまいます。
なお、私は、過去保有株がTOBの対象になったケースでは、その全てにおいて上記(2)のように、市場で売却しています。TOB不成立・中止のリスクを考えれば、買付価格より少しだけ安い価格で市場で売却できるならば御の字と考えているからです。
TOBについては、少し古いですが以下の楽天証券のコラムも参考にしてください。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。