好材料をどれだけ織り込んでいるかの推測は難しい

6月23日より、風営法が改正され、保護者同伴であれば16歳未満の人でも18時以降ゲームセンターに入店できるようになりました。例えば東京では保護者同伴なら22時まで入店可能です。
ここ数日、ネットニュースなどで頻繁にこの話題を目にするようになりました。もしかしたら、このニュースをみてゲームセンター関連株を買ったという方もいるかもしれません。
しかし、こうした好材料がすでに株価にどれだけ織り込まれているかを推測するのは非常に難しいのが現状です。

よくあるのが、ネットニュース等で頻繁に流され、多くの投資家がその事実を知るころにはすでに株価に織り込まれてしまってそれ以上株価が上昇しない、というケースです。
おそらく、このニュースの内容は、知っている人は知っているはずです。私も1ヶ月前に、たまたまゲームセンターの前を歩いていたところ風営法改正の張り紙がされているのを見て、すでに知っていました。

そこで、ゲームセンター運営会社として私が頭に浮かぶアドアーズ(4712)、ラウンドワン(4680)、セガサミーホールディングス(6460)、バンダイナムコホールディングス(7832)の株価チャートを見てみました。
このうち、アドアーズは風営法改正日の6月23日に向けてじわじわと上昇し、6月23日当日に高値をつけています。ラウンドワンはじり高の状態が6月23日以降も続いています。
一方、セガサミーやバンダイナムコは、6月23日に向けて逆に株価が下落するという状態でした。

以上のことから分かるのは、好材料がある銘柄について、その好材料を株価がどの程度織り込んでいるかを予測することは事実上不可能だということです。
もちろん、ブランジスタ(6176)のように、好材料であるゲーム配信日に向けて株価が急上昇しているような場合は、かなり好材料を織り込みに行っていることが分かるため、高値での飛び乗りは非常にリスクが高くなるであろうことは分かります。
しかし、今回のゲームセンター運営会社は、株価が急上昇したわけでもありませんので、好材料をどれだけ織り込んでいるかは全く分かりません。
強いて言えば、ゲームセンター売り上げの比率が高いアドアーズやラウンドワンの方が、セガサミーやバンダイナムコより株価の動きは強いという印象はありますが、所詮その程度です。
結局、分からないものを分かろうとしても無駄な話なので、好材料により株価上昇が期待できると踏んだ銘柄についても、25日移動平均線を超えて上昇トレンドであれば買って保有を続け、25日移動平均線を割り込んだら売るという投資行動をとるのが無難だと思います。「この好材料なら株価はもっと上昇するはずだ」と強気になったところで、実際の株価がその通りになるとは限りませんので注意してください。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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