4月から年初来高値・安値銘柄が大きく増加する理由とは

例年、4月になると、年初来高値ないしは安値銘柄が大きく増加する傾向にあります。その理由をご存知でしょうか。
何も、4月になるといつも相場が大きく動くから、ということではありません。年初来高値・安値の定義が3月までと4月以降では異なるために生じるのです。
・1月~3月まで:「昨年」の1月から当日までの高値をつけた銘柄が年初来高値更新となる
・4月以降:「今年」の1月から当日までの高値をつけた銘柄が年初来高値更新となる
※厳密には、1月~3月までは、「年初来高値更新」ではなく「昨年来高値更新」という表現となります。

4月以降は、昨年の高値を超えていなくても、今年の高値を超えていれば年初来高値更新となります。高値更新のハードルが4月になるとぐっと下がるため、年初来高値更新銘柄が一気に増加することが多いのです。

年初来高値銘柄は上昇トレンドが継続しているサイン、年初来安値銘柄は下降トレンドが継続しているサインとして有用です。また、勢いのある強い銘柄や、弱い銘柄を探すときに年初来高値・安値更新銘柄を活用します。
しかし、4月以降は昨年の高値は関係なくなりますから、例えば4月以降の年初来高値銘柄には、「今年の高値は更新したが昨年の高値はまだ更新できていない」ものと、「今年の高値を更新し、かつ昨年の高値もすでに超えている」ものが混ざり合います。強い銘柄という観点でいえば、昨年の高値までも超えている後者の銘柄の方がより強く、勢いのある銘柄となります。今のような二極化相場であれば、より強い銘柄に乗る方が投資成績の向上につながります。
もし年初来高値銘柄をピックアップする際は、面倒でも株価チャートを確認し、昨年の高値までもすでに超えている銘柄かどうかをチェックすることをお勧めします。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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