過去の経験則が全く通用しないほどの下落ー2020年3月16日の日本株

<今日の日本株>
3月16日の日本株は、朝方の高寄り後すぐ売られた後、2時過ぎに日銀の追加金融緩和で一時急騰するも、その後は大きく値下がりして終わりました。日経平均株価の終値は先週末比429円01銭安の17002円04銭でした。
TOPIX、マザーズ指数も下落しました。

値上がり銘柄2069に対し値下がり銘柄1841とほぼ拮抗、昨年来高値更新銘柄は1、昨年来安値更新銘柄は172でした。

ADA指数は2.2%となり、先週末のマイナス9.0%から上昇しました。さすがに先週末の安値で、各種テクニカル指標から99%下げ止まる水準と判断し、無理のない範囲で買ってみましたが、17日には売らざるを得ないかもしれません。

 

<各国の金融緩和も効果なし>
個別銘柄をみると、明らかに下げ過ぎの銘柄ばかりであり、確かに良いタイミングで買うことができれば、かなりの利益を得ることができるとは私も思います。

ただ、通常なら下げ止まる水準をことごとく下抜けし、テクニカル指標や過去の経験則が全く通用しない状況です。例えば騰落レシオは40.1%まで低下し、60%割れで底打ちという従来のセオリー通りに動いた人は、即座の損切りをできていなければ大ケガをしてしまっています。

16日の朝はアメリカで1%の緊急利下げ、日本でも16日に追加金融緩和策として日銀によるETF買いの増額(6兆円→12兆円)が発表されていますが、発表によりさらに株価が下落しています。
本来は、新型コロナウイルスの影響によって金融マーケットが不安定になったときのために温存するカードを、今の時点で切ってしまったので、本当に金融危機のようなことが起こったときなす術がなくなってしまう恐れがあります。
新型コロナウイルスの影響が沈静化することがみえてこなければ、いくらテクニカルからみて、ファンダメンタルからみて、過去の経験則から見て株価が割安であっても、下げ止まらないのでしょう。

私も、「さすがに一旦は下げ止まるだろう」として、今までも何度か打診買いをしつつも、底割れにより損切り、ということを繰り返しています。下手に底打ちからの急反発を狙いに行って失敗するよりは、例えここから急反発しようとも、株価の動きが落ち着くまでは何もせず待った方がよいと思います。

昨晩のNYダウは3000ドル安、VIX指数も82.69とリーマン・ショックのときと同様の極めて高い水準にあります。動けば動くほど損をする相場環境がもうしばらく続くと思われます。とにかく利益を得たいとか、ここまでの損を取り返したいという思いは抑えて、キャッシュを温存して将来のチャンスが到来するのを待つのが得策です。

 

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足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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