下落相場の入口にー2017年8月14日の日本株

<今日の日本株>
8月14日の日本株は、円高進行やアメリカ株下落の影響などから下落し、日経平均株価の終値は前日比192円64銭安の19537円10銭でした。TOPIX、マザーズ指数も下落しています。

値上がり銘柄796に対して値下がり銘柄2890と値下がり優勢、年初来高値更新銘柄65に対し年初来安値更新銘柄108と、ついに年初来安値更新銘柄が上回りました。

ADA指数は33.5%となり、前日の40.3%からさらに低下しました。日に日に下降トレンド入りの銘柄が出ているため、それらを淡々と売却した結果です。

<日本株全体の状況を俯瞰する>
日本株全体の状況をみると、日経平均株価やマザーズ指数はすでに明確に25日移動平均線を割り込んでいましたが、今日の下落でTOPIXも明確に25日移動平均線を割り込みました。
もちろん、ここから反発して再度上昇トレンドに戻る可能性もありますが、株式投資は「可能性」とか「予測」で動くとまず失敗します。

今は、全ての指数が25日移動平均線を明確に割り込み、ここからさらに株価が下がる可能性の高い下降トレンドに突入するちょうど入口の段階と考えるのが無難です。

さらに今日特筆すべきなのが、年初来安値更新銘柄の数が年初来高値更新銘柄の数を上回ったということです。これは今年4月以来のことです。ちょうど日経平均株価が18200円どころまで下落したタイミングです。

年初来安値更新銘柄は、下降トレンド真っ只中にある銘柄、年初来高値更新銘柄は上昇トレンド真っ只中にある銘柄です。

この銘柄数がいままでとは逆転したということは、日本株全体で見ても、下落相場に入りつつある状況を示しているのです。
さらに、現状では上昇トレンドにある個別銘柄は全体の4分の1程度しかないものと推測されますし、この数は日に日に減少しています。
今は、下降トレンドに転換した銘柄はしっかりと売却し、損失を膨らませないよう注意すべき時期であることは間違いありません。

<これまでの個別銘柄の動きの特徴>
ペッパーフードサービス(3053)、アカツキ(3932)、青山財産ネットワークス(8929)など、高値更新となっている銘柄もまだまだあります。一方、FPG(7148)やスター・マイカ(3230)など明確に25日移動平均線を割り込んでいる銘柄もありますし、前田工繊(7821)のように、先日上場来高値を更新したばかりにもかかわらず、株価が伸び悩み、25日移動平均線を割り込んでしまったものもあります。

そして、数多くの個別銘柄の動きをみて感じたのが、「一度25日移動平均線を割り込むと、そこから反発せず下落が続く銘柄が多い」という点です。

例えば、ベクトル(6058)は25日移動平均線を割り込んでからさらに20%ほど値下がり、アイスタイル(3660)は30%以上値下がりしています。マイネット(3928)も、今日のストップ安により、25日移動平均線を割り込んでから約30%の値下がりです。

もし、相場全体が右肩上がりの上昇トレンドであれば、個別銘柄も25日移動平均線を割り込んだとしても一時的で、しばらくすると再度25日移動平均線を上回ってくることが多いです。
しかしそうなっていないということは、相場全体の環境はかなり悪いといわざるをえません。

ただそれでも、高値更新銘柄もまだまだあり、上昇トレンド銘柄も少なくはありませんから、そうした銘柄を中心に手掛けていきつつも、無理のない範囲で投資する、という守り優先のスタンスで乗り切るのが無難ではないかと思います。

もしかしたら、今が絶好の押し目買いのチャンスかもしれません。でも、仮にそうだったとしても、私は下降トレンドの銘柄を新規買いすることはしません。
儲け損ねるより、大きな損失を回避する方が何十倍も重要です。数々の暴落を乗り越えてきた私であれば、そう思います。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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