本日(4月11日)、東芝(6502)が決算発表をしました。異例なのは、四半期報告書の監査意見が「意見不表明」であるにもかかわらず決算発表をしたこと。
監査意見とは、監査法人がその会社の決算書の中身が適正かどうかをチェックしたうえで表明するものです。
ほぼ100%近くが、この決算書は正しいとする「適正意見」ですが、まれに「不適正意見」や「意見不表明」が出ることがあります。
「不適正意見」とは、「この決算書の中身は間違っていますよ」と監査法人が投資家や利害関係者に伝えることです。
「意見不表明」とは、「この決算書の中身が正しいのか、間違っているのか、よくわからん」と伝えることです。つまり、決算書の中身をしっかり調べることができない状況にあるのです。
では、東芝はこれにより上場廃止になってしまうのでしょうか?まだはっきりとは分かりませんが、不適正意見や意見不表明の場合は上場廃止基準に抵触することは確かですから、東証がこれから審査して、どうするか決めるということになります。
いずれにせよ、私たち個人投資家としては、これからどうなるか分からない、上場廃止になるかも知れない銘柄に投資する必要は全くありません。
確かに、上場廃止を免れ、業績が回復して株価が今の3倍くらいになるかも知れません。でも、上場企業の中には、好業績が続いているものもあり、そうした銘柄の方が東芝より低いリスクで株価3倍、5倍、時には10倍以上が狙えます。
個人的には、東芝株にあえて投資する必要性は全く感じません。債務超過ですから、上場廃止となれば株価は限りなくゼロに近付くと思います。東芝の復活にかけ、うまく行けば3倍、失敗すればゼロ、という投資より、高成長の中小型株を狙い、うまく行けば10倍以上、失敗しても適切な損切りにより5%程度の損失、という方がどう考えても割に合うと思います。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。