<今日の日本株>
トランプ氏の会見を受けた1月12日の日本株は、円高が進んだこともあり大きく下落しました。日経平均株価の終値は前日比229円97銭安の19134円70銭でした。TOPIX、マザーズ指数も下落しています。
個別銘柄の動きをみると、値上がり780に対し値下がり2789で値下がりが圧倒的に多い状態です。でも値上がりもそれなりにあり、決して全面安の状況にはなっていません。昨年来高値更新銘柄はかなり減少して74、昨年来安値更新銘柄は2でした。
今日のADA指数は71.5%となり、前日の82.0%から大きく低下しました。25日移動平均線を割り込む銘柄の売却に加え、25日移動平均線スレスレのものも一部売却しました。今後の調整局面入りの可能性を強く感じたので、膨らみすぎた買いポジションを少し縮小させる動きを取りました。
<日経平均株価が25日移動平均線を割り込む>
今日の下落で、日経平均株価は25日移動平均線を少しですが割り込みました。これは、11月10日からはじまった「トランプ相場」以降はじめてのことで、実に2か月ぶりに25日移動平均線を割り込んだことになります。
TOPIXの方はまだ25日移動平均線を割り込んでいませんが風前の灯火といった感じです。ただし、マザーズ指数は25日移動平均線のかなり上方にあります。
また、個別銘柄でも長い間強い動きを続けてきたメタップス(6172)が久しぶりに25日移動平均線を割り込むなど、強かった銘柄の失速も目立ってきています。
こうした状況から想定されるのは、東証1部の主力株、大型株や、直近で大きく上昇してきた銘柄を中心に、しばらくの間調整する可能性が高いということです。
もちろん、明日以降すぐに反発して日経平均株価が25日移動平均線を奪回すれば話は違ってきますが、すでに個別銘柄では調整局面に入っているものも少なくないことを合わせて考えると、25日移動平均線を下回った保有株はいったん売却するのが無難と考えます。
もちろん、現時点ではまだ25日移動平均線を上回っている個別銘柄のほうが圧倒的に多いわけで、これらの銘柄まで叩き売る必要はありません。しかし、例えば25日移動平均線をわずかに上回っている程度で、時価と買値がほぼ同じ、という場合はいったん売却して、今後明確に25日移動平均線を上回るか、もしくは直近高値を超えるまで買い直しをしない、という戦略もあります。直近の上昇相場で買いポジションがかなり膨らんでいる、という方は上記のような基準で保有株の一部を売却し、今後の調整局面に備えておくのも有効です。私が今日ADA指数を大きく低下させたのも、一部にはそのような売りが理由になっています。
<急騰前の待ち伏せ買い>
今日は日経平均株価が大きく下がった割には、値上がり銘柄もそれなりにありました。例えば材料の出たアスカネット(2438)はストップ高で30%近く上昇しました。この銘柄を例えば明日以降新規買いするというのは私に言わせれば論外で、私ならもし保有していなければ買いは見送ります。
でも、今日の急騰より以前に、すでにアスカネット株は25日移動平均線を明確に上回り上昇トレンドになっています。つまり急騰前にアスカネット株を仕込むチャンスは十分にあったということです。
今のように相場環境が良いときは、新興市場銘柄が突然急騰することがよくあります。とはいっても、どの銘柄がいつ上昇するかまではわかりません。ですから、テーマ性を持った銘柄については25日移動平均線を明確に超えた段階で新規買いしておき、株価急騰を待つ、という戦略が有効です。仮に急騰しなくとも、上昇トレンドが続く限り保有していればよいわけで、急騰しなくとも上昇トレンドが続けばよし、急騰すればなおよし、という考え方です。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。