1月4日の全面高の相場により、調整含みだった銘柄が一斉に切り返しの動きとなりました。例えば三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は、昨年末の時点では25日移動平均線を少し割り込んでいましたが、1月4日には株価上昇により、再び25日移動平均線を明確に上回っています。
個人的には25日移動平均線割れにより昨年末に売却したものについては、速やかに買い直しをするべきタイミングだと思いますし、銀行株の上昇に乗り遅れた、という方やもっと買い増しをしたいという方にとっては絶好の買いタイミングとなっています。
ただし、今日の終値は745.2円であり、直近高値773.3円に達していません。そのため、直近高値を超えられず二番天井を形成してしまう恐れもあります。
一方、直近高値超えを待って新規買いした場合、現時点の株価より4%ほど高く買うことになりますし、直近高値超え後に株価が下落してしまい損切りとなった場合の損失率も、今すぐ買う場合より大きくなります。
なお、損切りについては原則は25日移動平均線割れですが、直近安値が25日移動平均線の少し下にある場合は、直近安値割れを損切り価格に設定した方がやりやすいと思います。なぜなら、25日移動平均線を少し割り込んだものの直近安値を割り込まない価格で株価が反発した場合、一旦損切りした後、それより高い株価で再度買い直しをする必要が生じ、余計なコストが発生してしまうからです。
以上をまとめると、次のようになります。
・買いタイミング(その1)現時点(25日移動平均線を明確に超えている)
・買いタイミング(その2)直近高値773.3円超え
・売りタイミング 直近安値705.9円割れ
買いタイミングの(その1)と(その2)はご自身で判断してください。ちなみに今回のケースでは、私は(その1)の時点で予定投資株数の3分の2~4分の3は買ってしまいます。その後、(その2)のタイミングで残り株数を買い増すかどうか検討するようにします。
他の銘柄においても、株価が上昇後一旦25日移動平均線を割り込み、そこから切り返して再度25日移動平均線を上回ったタイミングは絶好の買いタイミングとなります。このタイミングを逃していてはいつまでたっても新規買いできません。
また、よくあるのが「株価がもう少し下がったら買おう」という考え方で、例えば三菱UFJフィナンシャル・グループであれば600円どころまで下がったら買う、というものです。
しかし、600円まで株価が下がってくれる保証などどこにもありません。600円に下がることなくここから株価が2000円になれば、せっかくのチャンスを逃すことになります。「600円どころまで下がればよいな」と思うこと自体は一向に構いませんが、そこまで下がる前に切り返して再度25日移動平均線を株価が上回った場合は、素直にその動きについていって新規買いすべきです。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。