今日の日本株(2016年11月10日)

<今日の日本株>
アメリカ大統領選挙から一夜明けた11月10日の日本株は、前日の急落から一変、まさかの「全戻し」となりました。日経平均株価の終値は前日比1092円88銭高の17344円42銭でした。TOPIX、マザーズ指数もともに急騰しました。
個別銘柄をみても、値上がり3507に対し値下がり209と、全面高の状況です。年初来高値更新銘柄が90まで増加した一方、年初来安値更新銘柄は6まで激減し、本格的な調整局面入りはひとまず杞憂に終わったようです。
今日のADA指数は16.2%となり、前日のマイナス1.5%から大きく上昇しました。昨日売却した銘柄のうち、今日再度25日移動平均線を上回って上昇トレンド転換が濃厚になった銘柄を買い直したり、空売りしていた銘柄の一部を買い戻したりしました。

<まるでマンガのような展開に>
1日で1000円急落した後、翌日に1000円上昇した相場など、株式投資歴20年近くになる私でさえあまり記憶にありません。昨日の急落は今日の急騰で「なかったもの」となりました。
震源地のアメリカ株は昨晩下落どころか上昇し、今晩はついにNYダウが史上最高値を更新しました。ヨーロッパ株も下がりませんでしたし、日本株だけが株価急落の憂き目に遭ったことになります。
昨日のブログで、私はリバウンドは狙わないと書きましたが、そもそもシカゴ日経平均先物自体が1000円ほど値上がりして、寄り付きで安く買える状況ではありませんでしたから、実質的にリバウンド狙いは不可能な状況でした。
「昨日安いところをうまく買った」という武勇伝が各所で飛び交っていますが、デイトレーダーなど日中常に株価をチェックできる投資家でなければ、昨日の安いところで買い向かうことなど恐ろしくてできません。やはり私のセオリーは昨日の急落は一旦売りとし、株価が再度上昇トレンドに戻ったら買い直し、という形です。
昨日の安いところをうまく買ったと思ったら翌日さらに株価が暴落・・・というのがリーマンショックでした。私は、日中株価を見ることができないのに昨日の急落で買い向かうような投資家は、いずれ大暴落に巻き込まれて大損してしまう危険性がかなり高いと思います。

<昼休みに株価チェックをして売買注文を出すかどうか>
日中株価をチェックできない個人投資家の方でも、昼休みにはチェックできると思います。
昨日の急落および今日の急騰は、昨日の昼休みに株価をチェックせず、日中に一切注文を出さなかった個人投資家にとっては、昨日の時点では冷や汗をかいたものの結局は今日の朝方の時点ですでに一昨日の水準まで戻っていますから、昨日余計な動きをしなかったのは結果的には正解ということになります。
一方、私のように、昨日の昼休みの時点で株価をチェックし、25日移動平均線を下回っている個別銘柄を売却した個人投資家にとっては、今日の急騰は「やられた」という思いでいることでしょう。私は昨日の下落と今日の上昇とで差し引き総資産の1%ほどを失っていますが、これは昨日の昼休みなど日中に一切株価をチェックしなかったならば防ぐことができた損失です。
ただ一方で、昼休みに株価をチェックして注文を出した結果、大きな損失を避けることができたケースも数多くあります。昼休みに株価をチェックするかどうかは、ご自身で判断していただくほかありません。私はこれからも、昼休みには株価チェックをして、適宜売買注文を出すことにします。

日経平均株価こそ昨日、今日で派手な動きを見せましたが、個別銘柄でみると、まだ明確な上昇トレンドとなっていない銘柄は半分以上あるように感じます。特段慌てることなく、ご自身のウォッチ銘柄が上昇トレンドに転じたら新規買いする、今日のように株価が急騰して25日移動平均線からのかい離が10%を超えた場合は新規買いは見送る、というスタンスを取っていれば問題はありません。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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