<7月15日の日本株>
3連休前の週末、7月15日(金)の日本株はまさに「株価に偽りあり」の展開でした。日経平均株価は前日比111円96銭高の16497円85銭で終わりました。しかしこれはファーストリテイリング(9983)がストップ高になったため日経平均株価を200円ほど押し上げた影響が大きく、これがなければ日経平均株価はマイナスで終わっていました。
マザーズ指数をみると4%以上もの急落となっており、こちらの方が金曜日の日本株の実態に近いような感じがします。
金曜日の日本株で特筆すべき動きは、これまで二極化相場の中で買われ続けていた銘柄が軒並み大きく下落し、売られ続けていた銘柄(鉄鋼株、銀行株、証券株など)が上昇していたという点です。以前から25日移動平均線を割り込んでいたアリアケジャパン(2815)はさらに大きく下落、セプテーニ・ホールディングス(4293)やスタートトゥデイ(3092)は明確に25日移動平均線を割り込み、ニトリホールディングス(9843)も上昇トレンドにとどまってはいるものの大きめの下落となりました。
15日のADA指数は46.7%となり、前日の55.1%から下落しました。いままでの二極化相場をけん引していた銘柄のいくつかが明確に25日移動平均線を割り込んだため、売却ないしツナギ売りをしたことが大きな要因です。
<先週1週間を振り返って>
7月11日~15日の週を振り返っていえるのは、「7月8日までの相場で買われていた銘柄が一斉に売られ、逆に売られていた銘柄が一斉に買われた」という点です。二極化相場で買われていた銘柄を買い、売られていた銘柄を空売りしていた私にとっては、買い銘柄が下がり空売り銘柄が上がるという「股裂き状態」が続いた1週間でした。特に15日金曜日は、その動きが非常に顕著に感じました。
今週以降の注目ポイントは、やはり先週の流れ(今まで買われていた銘柄が売られ、売られていた銘柄が買われる)が継続するかどうかだと思います。
もし物色対象が完全に変わるのであれば、買い銘柄もそれに応じて変えていかなければいけません。でも、物色対象が変わるかどうかは、まだ「予兆」の段階に過ぎません。
したがって、現時点では今まで売られていた銘柄のうち、反発が大きく25日移動平均線を明確に上回ったものについて打診買いをしてみるというのが現実的な対応だと思います。
来週には日銀金融政策決定会合があります。この結果次第で株価が大きく変動する可能性も高いため、あまり無理をしないポジションで当面様子をみるのが無難かな、と感じています。
<日経平均株価だけを見ていたのでは完全に見誤る>
先週1週間で、日経平均株価は1500円近く上昇しました。しかし、他の個人投資家の方がどうだったかは分かりませんが、私の先週の投資成績は散々なものでした。まさか日経平均株価が1500円上昇したのに投資成績が大幅なマイナスになるとは思ってもみませんでした。空売りした銘柄の踏み上げは自業自得のようなものですから仕方ありませんが、保有株が軒並み大きく下落したことは、日経平均株価の大幅上昇とは全く逆の動きでした。
ここで注意しなければならないのは、「専門家」の日経平均株価の見通しをみて、日経平均株価は底を打った、ないしは日経平均株価は今後堅調な動きが続きそうだ、といったコメントをよりどころに、先週大きく下落して25日移動平均線を明確に割り込んだ個別銘柄を我慢して持ち続けることは好ましくないという点です。
思えば二極化相場では、日経平均株価がほとんど上昇しない時期でも個別銘柄は大きく上昇しました。まさに足元ではこの逆の現象が起きているわけです。
上で述べたように、物色対象が完全に変化し、今まで買われていた銘柄が当面弱くなる展開だって十分に考えられるわけです。ですから、先日までいくら強い動きが続いていた銘柄であっても、25日移動平均線を割り込んだら一旦売却して次のチャンスを待ったり、他の銘柄に乗り換えるのが無難です。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。