最高裁判断「花押を記した遺言書は無効」

6月3日、最高裁は、花押(かおう)が記された遺言書は、「押印が必要」とされる民法の要件を満たさないとして無効と判断、高裁に差し戻しました。
実は、一審、二審ではこの遺言書は有効と判断され、最高裁で一転して無効とされたのです。

このニュースをみて感じるのは、自らの財産を誰にどう残すかという意思表示として非常に重要である遺言書が、民法に規定される要件を満たさないことで全く意味をなさなくなることの怖さです。
実際問題として、専門家のアドバイスを受けずに作成された自筆証書遺言は、法律上の要件を満たしていないため無効となることも多く、せっかくの故人の遺志が無になってしまいます。
遺言書を書き記すというのはとても大事なことですが、それが無効となってしまっては元も子もありません。要件を満たすかどうかあやふやな遺言書を作った結果その有効性を巡って相続人同士で裁判沙汰になるくらいなら、公正証書遺言を作成する、自筆証書遺言なら専門家のアドバイスを受けて作成するなど、無効とされるリスクが低い形で遺言書を残しておくことをお勧めします。

楽天証券の相続コラムで遺言書について書いていますので、そちらも合わせてご覧ください。

楽天証券相続コラム

 

 

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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