昨日のブログにて、モルフォ(3653)やそーせいグループ(4565)が一旦反発したこと、そして直近安値を割り込んだ場合は躊躇なく売却すべきであることをお話ししました。
そして今日になり、マザーズ指数急落の影響もあり、モルフォ、そーせいグループともに直近安値割れとなって終了しています。
直近安値割れをザラ場ベースでみるか、終値ベースでみるかという議論があります。なぜなら、ザラ場では直近安値を割り込んでも、そこから持ち直し、終値ベースで見れば直近安値を割り込まずに済んだ、ということもよくあるからです。
しかし私はこの点につき、やはり「大きな損失は絶対に回避する」というスタンスを徹底し、ザラ場で割り込んだら売却するようにしています。つまり、事前に直近安値割れで売却とする逆指値注文を出しておくのです。
特に新興市場銘柄の場合、直近安値を割り込んだ後、株価が大きく下がり続けることが多いです。今日はまさにその動きで、例えばそーせいグループが今日の場中に20600円割れと直近安値割れになったとき、もし逆指値注文を出していればそのタイミングで執行されます。一方、引値を待って判断するという場合、引値では17990円まで下がってしまっていて、直近安値割れの20600円よりはるかに安くなっています。これをみて翌日の寄り付きで売却するわけですが、翌日になるともっと株価が下がって寄り付く可能性も大いに考えられます。
新興市場銘柄、特に直近で人気が高まっていて株価も大きく上昇している銘柄の値動きは、東証1部銘柄の5倍・10倍のスピードとなることも多々ある点はまず認識しておいてください。
となると、たった1日保有株の売却を見送っただけで、損失が大きく膨らんでしまうこともあるわけです。今日の急落は、まさにそのような動きです。
新興市場銘柄は上昇のスピードが速いのが魅力ですが、その裏返しで下落スピードも猛烈に早いです。たった3日であっという間に高値から半値以下になったブランジスタ(6176)株の動きをみても、とてつもないスピードで株価が下落していることが良く分かります。
東証1部の大型株であれば、売却の判断を1日・2日誤ったとしてもそれほど大きな影響はありません。一方、売却の判断が1日遅くなっただけで致命傷になりかねないのが新興市場銘柄です。
違った観点からみれば、今回の新興市場銘柄急落で、大きな損失を出すことなく立ち回ることができていれば、今後においてもまず大失敗することはないと思います。その意味では、新興市場銘柄への投資は、適切な売買タイミングをシビアに見極めるための練習の場ととらえても良いかもしれません。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。