<3月決算銘柄の配当や株主優待を受け取れるのは28日の売買終了時点の株主>
3月 28日の月曜日は、3月決算銘柄の権利付き最終売買日です。28日の取引終了時点で3月決算銘柄を保有していれば、配当金や株主優待を受け取る権利があります。
<短期的な配当取りはリスクもあり>
注意したいのが、短期的な配当取りを狙う場合です。
例えば、1株10円の配当がもらえる銘柄を3月28日に300円で買い、翌29日に300円で売れれば配当金10円分がまるまる儲けになります。300円で売れなくても295円で売れれば、差し引き5円が儲けです。
ところが、実践でよくあるのが、配当権利落ち日に配当金以上の値下がりをするケースです。上の例では、28日に300円だったものが29日に280円に値下がりしてしまうのです。
<配当取りのつもりが塩漬けに・・・>
これだけは絶対にすべきではないのが、配当金狙いで買った銘柄を、権利落ち後の株価が想定以上に下がってしまったため売却せずそのまま持ち続けてしまうことです。
上の例で、28日に10円配当の銘柄を300円で買い、29日に280円で売ったならば配当の10円を加味しても10円の損です。これを避けるため29日に280円で売らずに、290円以上(つまり配当を加味したプラスマイナスゼロの水準)になるまで保有を続けてはいけません。
そもそも、配当の権利を取るために、29日に売るつもりで28日に買っているのですから、その結果が損失になろうが、29日には売らなければならないのです。それを捻じ曲げて、29日に売ると損をするからといって保有を続ければ、さらに株価が下がって塩漬けになってしまう可能性も大いにあります。
<配当金はあくまでも現時点での「予想」>
もう1つ注意したいのは、現時点で会社側から発表されている1株当たり配当金は、あくまでも「予想」でしかないという点です。
上の例で、300円で買って295円で売り、配当金が10円だから差し引き5円の儲けと思っていたところ、3月決算が大赤字となり配当金も無配になってしまった、ということになれば、結局5円の損となってしまいます。
<株価変動リスクゼロで株主優待だけもらう方法もあるが・・・>
上記のような権利付き最終売買日前後の価格変動を回避しつつ、株主優待の権利だけをもらうためのテクニックがあります。今回であれば、28日の寄り前に同じ銘柄につき「現物買い+信用売り」の注文を出し、29日の寄り前に「現物売り+信用買い戻し」の注文を出します。株価変動の影響なしに、売買手数料等のコストのみで株主優待が受け取れます。
ただ、株主優待が人気の銘柄は逆日歩(ぎゃくひぶ)などの追加的コストがかかることもあり、結局はトータルで損をすることもあります。多少コストがかかってもよいからどうしてもこの銘柄の株主優待が欲しい、という場合のみ用いればよいと思います。
以上をトータルして考えると、配当狙いや株主優待狙いでの短期的な売買はそれなりにリスクもあります。結果的に多少損をするリスクを承知で、この銘柄の配当や株主優待がどうしても欲しい、という場合のみ実践すればよいと思います。
ちなみに、私は配当狙いや株主優待狙いの売買は一切しません。ですから、いかに高配当の銘柄でも、株価が明確に移動平均線を割り込んだならば配当権利付き最終日であっても躊躇なく売却します。あくまでも保有の基準は株価のトレンド(25日移動平均線を超えているかどうか)であり、配当金がもらえるから、とその基準を捻じ曲げることはしません。
現に、大部分の銘柄が下降トレンドで配当権利付き最終日を迎えた年は、私の保有銘柄はほとんどなかったため、当然ながら配当金もほとんど受け取れなかったこともあります。
とはいえ、私も配当金をもらえるならもらいたいのは正直なところです。28日の権利付き最終日まで、多くの保有銘柄が上昇トレンドを維持してくれればよいな、と思っています。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。