今週は、日銀の金融政策決定会合や、アメリカのFOMCが開催されたこともあり、いわゆる「イベントリスク」を気にしながらの相場となっています。
結果的には、日銀金融政策決定会合とFOMCを受けて相場が大きく変動することはなく、無事にイベントが通過した形となっています。
一方、投資情報サイトのニュースをみると、こうした株価に大きな影響を与える可能性のあるイベントを前にすると、「積極的な売買を控え様子見に徹する投資家が多い」と解説されたりします。現に、FOMCを直前に控えた先日の日本株の売買高は全く盛り上がりませんでした。
では、こうした「イベントリスク」に対して私たち個人投資家はどのように対応したらよいでしょうか。その際に知っておかなければならないのは、株価に大きな影響を与えるイベントは、しょっちゅう訪れるということです。日銀金融政策決定会合、FOMC以外にも、ECB、アメリカ雇用統計、GDP速報値発表、G20会議など、数え上げたらきりがありません。
つまり、イベントリスクを警戒して様子見を続けたり、イベントがあるごとに保有株を売却していたら、いつまでたっても株式投資ができないし、大きな利益を上げることは困難なのです。ある程度の期間継続して保有しなければ、株価が買値の2倍、3倍に上昇するまで持ち続けることはできません。
より実践的な対処法としては、例えば注目度の高いイベント(これは、イベントの前に投資情報サイトなどで数多くニュースや識者のコメント、専門家の予想などが発信されますので、それで判断します)の直前に多くの保有株があり、イベントの結果次第で株価が大きく値下がりすると困るような場合、保有株の4分の1とか3分の1減らしておき、値下がりが起きた時のダメージを少なくする方法が考えられます。
逆に、下落相場が続く中、サプライズにより株価反転上昇の可能性があるような場合でも、ヤマを張って下降トレンド真っ只中の状況で買い向かうのは避けるべきだと思います。
現に、今まで日銀のサプライズ金融緩和などで株価が急騰したときは何度かありましたが、その後買い場となるタイミングは必ず到来しています。慌てる必要はありません。
ちなみに、私はあまりイベントリスクは気にしないようにしています。もちろん、イベントの結果、株価が希望と逆方向に行くかもしれないと考えると心配ではありますが、それは受け入れるしかないと思っています。今週の日銀金融政策決定会合やFOMCの前に保有株を売却するようなこともしませんでした。単純に上昇トレンドの銘柄を保有しつづけているだけです。
その上で、イベントに対する投資家の注目度が非常に高く、「確かに買いポジションを多く持っている今の状況で株価が急落されると困る」と感じた場合は、仮に株が本当に急落しても精神面の安定を保てるレベルまで、保有株を売却して身軽になっておくようにしています。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。