「割安」=「底打ち」では決してない

株価がここまで大きく下がってくると、様々な専門家が、日本株の今後の見通しについて色々な見解を述べています。反発するとか、まだまだ下がるとか、複数の専門家の見解を聞いていると、頭が混乱して「いったいどうすればよいの?」と叫びたくなってしまうでしょう。ですから、誰が何を言おうが、今後の株価見通しについいての記事は基本的には無視して大丈夫です。

ところで、専門家の記事の中には、思わず首をかしげたくなる内容のものも数多くあります。最近よく見かけるのは、日本株は割安だから近々底打ちする、という論調です。日経平均株価のPERが14倍だからとか、PBR1倍割れの銘柄が700に達したからだとか、もっともらしい理由はいくつも付けられます。
しかし、割安だからと言って株価が底打ちするわけではないのが相場の世界なのです。
株には行き過ぎというものがあります。上方向に行き過ぎれば「バブル」ですが、下方向に行き過ぎることもあります。私はこれを「逆バブル」と呼んでいますが、つまり株価が明らかに割安なのにそこからさらに大きく株価が下落する状況です。
また、先日にも述べたと思いますが、たとえ割安株がゴロゴロしていても、株式市場に投資資金が入ってこなければ株価は上がりません。

割安株を投資候補銘柄としてピックアップすることは一向に構いません。ただし、ピックアップした銘柄を株価の下落途中でやみくもに買うのではなく、上昇トレンドに転じてから買うようにする方がリスクは格段に少ないと思います。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

関連記事