PERで底値を判断してはならない

以前楽天証券第305回コラムで少し触れましたが、個人投資家をミスリードする危険性が高い考え方として、「PERで底値を予想する」というものがあります。
例えば、足元の日経平均株価のPERは14倍だが、アベノミクス相場後の過去の安値は13.4倍であるからもうそろそろ反発に生じてもおかしくないという考え方です。
しかし、これは明らかにPERの使い方を間違っています。

PERは、将来の業績予想を加味した指標ですから、将来景気が回復して株価も上昇すると市場参加者が思っているときのPER14倍と、将来景気が悪化して株価が下落すると思っているときのPER14倍とでは全く意味が異なります。
もし、多くの市場参加者がこれからの日本株はしばらく低迷し、景気回復も見込めないと思うならば、PER14倍でもまだまだ高い、ということになるはずだからです。

この考え方は、個別銘柄でも同様です。単に低PERだから買う、というのではいつか大失敗します。PERを投資判断に使うのであれば、好業績が見込め、かつ低PERで、さらに上昇トレンドであれば買う、というようにすべきです。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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