私が「これは個人投資家にとって重要だ」と思う投資格言を10個ピックアップし、簡単に解説を加えました。
中には投資格言の意味を少し外れた解説もあるかもしれませんが、それは個人投資家が成功するために必要なこととして、あえて私なりにアレンジしたものですので、気にせず読み進めてみてください。
1.休むも相場
マーケットはいつでも利益を得られるわけではありません。多くの株が売られて株価が下がっているようなときは、無理に勝負に行かず、下げ止まって上げに転じるまでキャッシュを温存して休むのが得策です。
中には、いつも全力投球、という個人投資家も少なくありません。でも、下落相場で物理的に利益を出すのが不可能な状態なのに全力投球で買い向かっても、大きくやられるのがオチです。
株式投資は攻め時と守り時があります。
株価が下がっているときや、どうもうまく行かないなあ、というときは無理をせず休んでいた方がよいのです。
2.もうはまだなり、まだはもうなり
多くの個人投資家は「そろそろ下げ止まる」と思って買い向かったらもっと下がったり、すでに下げ始めているのに「まだまだ上がる」と持ち続けていたら結局は利益を全部吐き出したり・・・
これは全て株価の動きに逆らった逆張りをしているからこそ生じることです。
「もう下げ止まるかも!」と買いに動くのではなく「まだ下がるかもしれない」と買いを見送る、下げ止まって上昇に転じたら今度は「まだ下がるかも」ではなく「ここからはもう上がる!」と買いに打って出る・・・、順張りをしていればこの格言と上手に付き合っていけます。
3.頭としっぽはくれてやれ
株価の頂点で売り、株価の底値で買おうとしている人は意外と多いもの。しかし、株価の頂点や底値はいわば「瞬間最大風速」であり、事前に知ることはできません。
逆に、天井で売ろうと上昇途中に売るともっと上がってしまったり、底値で買おうと下落途中に買った結果さらに株価が下がってしまったりして、悔しい思いをしてしまいます。
株価の頂点を確認してから売り、底値を確認してから買う、まさに頭としっぽはくれてやる方が、実は大きな利益につながるのです。
4.下手なナンピン、スカンピン
買った株の株価が下がったとき、あなたはどうしますか?そのまま我慢して持ち続ける人が多いでしょうが、最もやってはいけないのが、その株をさらに買い足す「ナンピン買い」です。
そもそも株価が下がっている時点で「見込み違い」なわけですし、株価というものは時に信じられないほど下がったりもします。そんな状況でナンピン買いを繰り返していると、損失が膨らみ、お金もなくなり、含み損をかかえた塩漬け株だらけで身動きがとれなくなってしまいます。
買った株の株価が下がったら、我慢でもなくナンピン買いでもなく、早めの損切りが得策です。
5.買いは家まで、売りは命まで
この格言は、信用取引で買って失敗すると、家を売らざるを得なくなるほど大損する、そして信用売り(空売り)で失敗すると、家どころか命まで奪われるほどの損失を被る危険性があると説いています。
信用取引はレバレッジがかかっている分、失敗した場合のダメージが大きくなります。特に空売りの場合、理論上損失は無限大に拡大する恐れがあるので、信用買いの場合よりもリスクが高くなります。
信用取引では、適切なタイミングでの損切りが必須。損切りができない人は、信用取引に決して手を出してはなりません。
6.相場は相場に聞け(株価は株価に聞け)
株価というのは不思議なもので、どんなに業績が良くても下がる時は下がるし、逆に業績がボロボロでも大きく上昇することがあります。投資経験が長くなればなるほど、株式マーケットの理不尽さを思い知らされているのではないでしょうか。
こうした環境では、下手に業績にこだわりすぎて「業績絶好調なのに株価が下がるなんておかしい」とか「業績最悪なのに株価が大きく上昇するなんてありえない」と思ってしまいますが、実はこれが落とし穴。
業績とは連動しない株価の動きになることは多々あります。特にバブル相場は業績と株価が連動しない典型例です。
でも、業績にこだわりすぎるのではなく、株価が上昇している限りはそれに素直についていき、株価が下落している間は下手に手を出さないようにするようにすると、大きな損失を避けつつ利益を極大化できます。まさに「相場は相場に聞け」が成功のカギなのです。
7.買いにくい相場は高い
多くの個人投資家は、できるだけ安く買おうと常に思っています。そのため、株価が大きく上昇すると、「さすがにここからは手を出せないなあ」と静観してしまいます。
しかし、業績が良いなどの理由で大きく買われる株は、買いにくいほど高い株価になってから、さらに大きく上昇することが少なくありません。
もちろん、高値掴みには注意して、損切りのルールをしっかり設定した上でですが、株価が上昇して「今からは買いにくいなあ」というタイミングであえて買ってみると、意外と良い成果につながるものです。
8.見切り千両、損切り万両
株式投資で私が最も大事だと思う格言です。見込み違いの株を買って含み損が生じた場合、多くの個人投資家は我慢して持ち続けようとします。「そのうち株価は戻るさ」と楽観的に考えて。
ところが、往々にして我慢して持ち続けた結果、さらに株価は大きく下落し、最後は莫大な含み損を抱えた塩漬け株のオンパレードになってしまいます。
商売でも、売れ残りはバーゲンで処分しますよね。株式投資もこれと全く同じです。上がると思って買った株であっても、見込み違いで下がってしまったら、さっさと見切って損切りをする、損切りで得たお金でもっと有望な株を買う・・・。
これが株式投資で成功に近づくための最も重要な行動です。
9.押し目待ちに押し目なし
時には株価があっという間に大きく上昇することがあります。そんなとき、多くの個人投資家が株価上昇に乗り遅れてしまいます。
このときの心境は、「さすがにここからは買えない。もう少し待って株価が下がったところで押し目買いしよう」というのが一般的でしょう。
ところが、株価が大きく上昇したということは、株式市場のステージが変わった可能性も大いにあるのです。あまり上昇しなかった今までとは打って変わって、今度はどんどん上値を追っていく展開に変わります。
そんな状況で、押し目を待っても、全然押し目が来ないどころか、株価はぐんぐん上昇を続け、完全に取り残されてしまうのです。もちろん、浅い株価調整はありますからその時には買うべきですが、大きな押し目を待つことは得策ではありません。
10.落ちてくるナイフはつかむな
これも私がとっても大事にしている格言です。
2020年2月~3月のいわゆる「コロナ・ショック」のときもそうでしたが、株価が短期間で急落すると、「さすがに買い時だろう」と思って、株価が下がる中を買い向かう個人投資家がたくさんいます。
ところが、下落真っただ中の株というのはまさに「落ちてくるナイフ」なのです。上から落ちてきたナイフを素手でつかむとどうなりますか?大けがをしますよね。それと全く同じことです。
特に短期間で株価が急落するようなときは、投資家がパニックになっていて、想像をはるかにこえる下落になることも珍しくありません。
そんなときに、株価が下がっている真っ最中の株を買ったら、さらなる下落であっという間に大損してしまいます。
株価が下げ止まって上昇に転じてから買った方が、結局は安く買えるものなのです。