「株は下がった所で買って、上がった所で売る」
これが株式投資の基本だと考えて、目を付けていた株が下がっている所を買い、
「あとはこの株の株価が上がるのを待つだけだ!」
と楽しみに待っていたけれども、自分が買った時から株価は下がるばかり。
一向に上がる気配はなく、ズルズルと下がり続けてしまう。
いつまで経っても株価は下がったままで含み損がどんどん膨らんでしまい、
「こんなはずじゃなかった・・・」
と意気消沈。株価を見るのも嫌で、塩漬けのまま放置するだけ。
・・・
あなたは、株式投資でこんな経験をしたことはありませんか?
実はこれは、ほとんどの個人投資家が陥ってしまう可能性の高い典型的な失敗パターンです。
では、なぜほとんどの人がこのような失敗をしてしまうのでしょうか?
その理由は、「株は下がった所で買う」という逆張りをしてしまっている点にあります。
このページでは、『なぜ逆張りをすると失敗するのか?』という理由と失敗しないためにはどうすればいいのか、ということをお伝えしていきます。
これがわかれば、買った株が下がって含み損を抱えた塩漬け株を作ることがなくなり、限られた投資資金を効率的に使うことができるようになります。
逆張りとは何か?
まずは、逆張りとは何かを確認しましょう。
逆張りとは、株価が下がっている途中に安くなったと思ってその株を買い向かうことです。
実は、個人投資家のほとんどが逆張りをしています。それは、株は安くなったら買うものだと思っているからです。
ところが、安くなったからといってその株を買うことは危険な場合も多々あるのです。
どういうことか、説明をしていきますね。
逆張りをしている個人投資家は、"株価が下がった"という価格の面しか見ていません。だから、株価が下がると「安くなった!」と喜んで買ってしまいます。
確かに、企業の実態が何も変わっていないのに株価だけ下がったのであればそれは安くなったと言えるでしょう。
でも、多くの場合株価が下がることには理由があります。
例えば、その企業の業績が伸び悩むということをプロの投資家が察知してその株を売れば、株価は下がります。これは、決してその株が割安になったのではなく、業績が伸び悩んで企業の価値が低下したことによる株価の下落なのです。
ですから、株価が下がった理由を何も考えずに単に『株価が下がった』という事実だけで割安になったと判断するのは間違っています。
個人投資家が逆張りをすると、その後株価がさらに下がってしまうことが多いのは、こういった理由からです。
個人投資家の大部分が逆張りをしている
では、それなのになぜ個人投資家の大部分が逆張りをしてしまうのかというと、株価が下がった理由を考えることなく『株価が下がる=割安になった』と、勘違いしているからなのです。
このことが理解できないと、企業価値が下がってしまった株を逆張りで買い続けることになってしまいます。
その結果、株式投資を続ければ続けるほど損失がどんどん膨らんでしまうのです。
私は数多くの個人投資家の方とお話をする機会があるのですが、「株式投資でうまくいっていますか?」と質問すると9割ぐらいの方が上手くいっていないと答えます。
そして、個人投資家の9割ぐらいの方が逆張りをしています。
ということは、多くの個人投資家にとって逆張りを続けていてはいつまでも失敗が続いてしまうと言えるのです。
逆張りで失敗をする典型的なパターン①
逆張りで失敗するのは、次のようなパターンが多いです。
元々5,000円の株価だったA社の株が、3,000円まで下がりました。
5,000円の株価の時は「ちょっと高くて手を出しづらいな・・・」と思い、買いを見送っていました。
それが、3,000円になったことで、「ここまで株価が下がったのであれば、絶好の買い場だ!」と確信しました。
そこで、喜んで3,000円の株価で買った所、株価は上がるどころかズルズル下がって2,000円になってしまいました。
でも、3,000円の株価の時に割安と思って買っているのでさらに株価が下がった2,000円の水準であればさらに割安ということになり、ここで売るという選択肢も持つことができません。
「持ち続けていればそのうち上がるはずだ!」という思いでさらに持ち続けた結果、株価は下げ止まらずついに1,000円になってしまいました。
「割安なのにこんなに下がるなんておかしい」と思っていると、会社から業績の下方修正の発表があり株価はさらに値下がりして500円になってしまいました。
ここまで株価が下がってしまうと、もうどうでもよくなってしまうのでこのまま塩漬け株として放置することになってしまいます。
このように大きく値下がりすることはそこまで多くないと思われるかもしれませんが、成長株を天井をつけた後のタイミングで買ってしまうとこのようなパターンは結構頻繁に起きます。
逆張りで失敗をする典型的なパターン②
では、業績に特に変わりがないのに株価が下がっている株を買えば良いのかというと、そうではないのです。
マーケット全体が大きく下がるような局面では、業績が良い悪い関係なく全ての株の株価が大きく下がってしまいます。
ですから、業績が良い株の株価が下がったからといって、安易に逆張りで買い向かうのも危険です。
特に、近年では景気と株価が連動しないような状況が続いている為、業績が良いにも関わらず、例えば世界各国の中央銀行の金融政策の変更という景気とは直接関係ない理由であっても株価が大きく下がってしまいます。
さらには、2008年に起きたリーマン・ショックのようにそれまで景気や企業業績が好調だったにも関わらず、株価の大きな下落が原因となり景気や企業業績の急激な悪化に繋がることもあります。
つまり、業績が良いからといってその会社の株を、株価が下がった時に買ってそのまま持ち続けていると、マーケット全体の大きな下落によって業績までもが悪化してしまいさらなる株価の下落に巻き込まれてしまうのです。
その結果、多額の含み損を抱えた塩漬け株ばかりになってしまい、もはやどうすることもできなくなってしまいます。
順張りとは何か?
では、逆張りをした結果、塩漬け株を作ってしまうという失敗をしない為にはどうすれば良いのでしょうか?
私がおすすめしているのは、順張りという方法です。
私自身もこの順張りによって一切塩漬け株を作ることなく株式投資を続けることができています。
順張りとは、株価が上がっている途中に買い、株価が下がったら売るという方法です。
イメージとしては、株価の波に逆らわずに波に乗るという感じです。
順張りと聞くと、「株を高い所で買ってしまうことになり逆に危険ではないか?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
しっかりとルールを決めた上で順張りをすれば、実は逆張りよりも安く株を買えることも数多くあるのです。
順張りのメリット
順張りのメリットとして挙げられるのは、なんと言っても塩漬け株を作らずに済むということです。
逆張りの場合は買った株が値下がりしても持ち続けることになりますが、順張りでは上昇していた株価が値下がりに転じた場合、持っている株を売ることになるからです。
時には買った値段より安く売る「損切り」が必要となりますが、もし損切りをせずに持ち続けた場合、さらなる株価の下落で多額の含み損を抱えた塩漬け株が生じてしまいます。順張りをする際は損切りもセットで考えておきましょう。
※損切りについて、詳しくはこちらをご覧ください。
もう1つのメリットは、個人投資家にとって効率良く資金を使うことができることです。
逆張りの場合、株価が下がっている途中で買い向かうので買った後株価が上昇するのを待たないといけません。
時には、買った後5年も10年も待たないと株価が上昇しないこともありますし、株価が上がるどころかズルズルと下がり続けてしまうことも数多くあります。
こうなると、ただでさえ個人投資家が使えるお金は限られているのに投資した株が値上がりせずにずっと持ち続けることになるのでその分の投資資金が「死に金」になってしまいます。
でも、順張りは株価が上昇している途中に買うので、そこから短期間で株価が上昇する可能性が高くなります。
多くの場合、株価は外国人やプロの投資家の行動によって決まります。
株価が上昇しているということは、外国人やプロの投資家がその株を買っている可能性が高いのでそこからさらに株価が上昇しやすいのです。
一方、株価が下落している時は外国人やプロの投資家がその株を売っている為、さらに株価が下がりやすくなります。
このように、順張りは株価が上昇しやすいタイミングで買い、下落しやすいタイミングで売ることができるので、個人投資家が成功しやすいのです。
逆に、逆張りは株価が下落しやすいタイミングで買うことになるので、失敗したり塩漬け株を作る原因となってしまいます。
順張りの方が向いている人
このように、個人投資家は逆張りをすることにより塩漬け株を作り、資金効率が悪化しいつまで経っても株式投資で満足の行く成果を出せないままになってしまいます。
もし、今まで逆張りにより株式投資をしていて、塩漬け株を作ってしまったり、思うような投資成果を出せないでいるならば、ぜひ順張りを試してみてください。
逆張りしてもいい人
今までの話と矛盾するかもしれませんが、プロの投資家は順張りではなく逆張りをしていることが多いです。
そして、逆張りによって成功を収めることができています。
なぜなら、企業の価値をほぼ正確に分析することができる為、企業価値よりも株価が大きく下回っている銘柄を見つけて投資しているからです。
個人投資家でも逆張りにより成功しているのであればそれを続けても良いでしょう。
ただし、私が今までたくさんの個人投資家とお会いしてわかったことは、逆張りをして成功しているのは、企業の分析をプロに匹敵するレベルで行うことができている人だけです。
もし、今の段階で逆張りをしてうまく行っているという場合でも、それはたまたまマーケットの環境が良かっただけに過ぎない可能性が高いです。
プロと同じくらいの精度で企業分析をできる人でなければ逆張りを続けるのはかなり危険です。
まとめ
・個人投資家の多くは逆張りをして失敗している
・実は、個人投資家に向いているのは逆張りではなく順張り
・逆張りをしても良いのはプロ並みの企業分析能力を持った個人投資家だけ
・順張りをすることで、個人投資家が失敗する最大の要因である塩漬け株の発生を防ぐことができる
株式投資でなかなか成果が出せない塩漬け株にいつも苦しんでいるという方は、恐らく逆張りをしているはずです。
私が主宰している株式投資塾に来られる方も、ほとんどが逆張りをしていました。
入塾後、順張りに変えることで今までになかった成果を感じることができています。
具体的には、塩漬け株を作ることがなくなり、売買のタイミングが明確になったことで大きな損失を被ることもなくなって、利益を大きく伸ばすことができるようになりました。
逆張りを順張りに変えるということは、まさに今までの逆の行動をすることになる為、かなり抵抗を感じるかもしれません。
でも、逆張りで失敗続きの方はぜひ順張りを試してみてください。
きっと、ご自身の株式投資の成果にプラスの変化が訪れるはずです。