ご質問の回答(26)

※回答が遅くなりまして申し訳ございません。

<ご質問>
ブログ大変参考にさせていただきます。
足立先生はリスクヘッジについてプットオプションを買うとの事ですがこれはどの様な時に買いますか。
騰落レシオが80を割るとか何か基準みたいなもので買いますか。
投資資金に対してどの位の金額プットを買いますか。
掛け捨て保険だと思いますが残存期間と日経平均に対してどの位の乖離を買うのでしょうか。
買った事がありませんので出来る範囲でお教え頂けると有難いです。

投資勉強会への案内始まりましたらお送り下さい。

よろしくお願いいたします。

<回答>
ご質問いただきありがとうございます。

プットオプションの買いは、保有株が増えてきて、この状況で突発的な急落が起きた場合に多額の損失が懸念されるときに実行します。

例えば、私であればここ最近はADA指数が80%近く(つまり、投資可能資金の80%の株を保有している状態)ですから、突発的な急落がもし起これば、大きな損失が生じることになりますからプットオプションの買いは必須です。
逆に、ADA指数が30%以下の場合、突発的な急落が起きても、それほど大きな損失にはならない(最悪でも投資可能資金の1割以内に収まる)ので、プットオプションの買いは積極的には行いません。

どのくらいの金額を買うかは、状況によりますが、保有株時価の0.05%~0.1%程度です。
どの価格帯のものを買うかは、日経平均株価とのかい離で判断するのではなく、プットオプションの価格そのもので判断します。基本的に10円~30円程度のものを買います。
株価が暴落するときは、プットオプションの権利行使価格が1000円変わっても、それほど影響はないので、単純にプットオプションの値段で決めてしまっています。

買うタイミングは、株価が上昇しているときの方が、安く買えます。保有株を増やしているときというのは、日経平均株価も上昇していますから、そこでプットオプションも一緒に買ってしまいます。

逆に、株価が下がっているときは、プットオプションは値上がりするのでできるだけ買わないようにします。しかし、プットオプションには期日があるので、翌月の期日のものを新たに買わなければいけないようなときは、日経平均株価が下がってプットオプションも値上がりしていても、仕方なく買います。

また、買うのは直近のものです。今でしたら5月物を保有していますが、今週で期限切れなので、6月物をこれから新たに買う、という感じです。
何ヶ月も先のものは、価格が高いので買いません。

具体的な数値例を挙げると次のようなイメージです。

・現時点で株式に投資している金額:5000万円
・日経平均株価 5月9日終値19843円
・6月ものプットオプション 権利行使価格18000円 20円

この状況で、権利行使価格18000円・6月ものプットオプションを2枚買います。20円×1000円×2枚=4万円です。

もし、株価が急落し、保有株の株価が超短期間に30%下落したとします。
そうすると、プットオプションの価格は200倍の4000円くらいになってもおかしくありません。

・保有株の株価下落額:5000万円×30%=1500万円
・プットオプションの価格:4000円×1000円×2枚=800万円

よって、プットオプションにより、株価下落額の約半分はカバーできます。
株価下落の全部をカバーすることも可能ですが、そうすると逆にプットオプションの買いによるコストが増えてしまいます。

5000万円投資して、1500万円の損失がでることは、非常にまれ(10年に1度レベル)ですし、プットオプションの利益を差し引いた700万円くらいの損失ならその後の株価上昇で簡単に取り戻せます。
どんな急落でも、保有株売却・損切りを併用すれば投資額の30%程度に収まると思います。

もし、何日も株価がつかないような悲惨な状況がおきても、そのときにはプットオプションの価格も200倍どころか500倍になっていているはずです。
多少のプットオプションを持っていさえすれば、株価がどんなに暴落してもなんとかなります。

なお、私がプットオプションにかける年間のコストは、投資可能金額の0.5%~1%前後です。

株式投資塾は現在準備中です。詳細が決まりましたらご案内しますが、当初予定の7月から少し遅れるかもしれません。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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