TOBの買付価格引き上げ(イーブックイニシアティブジャパン)

本日(8月15日)、イーブックイニシアティブジャパン(3658)がストップ高をつけました。これは、ヤフー(4689)が実施しているTOBにつき、買付価格を従前の850円から1150円に引き上げると12日に発表したことによります。
現状ではTOBの買付予定数の下限に達せず、TOBが不成立になってしまうことを懸念したためのようです。

先日、フォトクリエイトのTOBを例に、保有株がTOBの対象となった場合、私であればTOBに応募せず市場で売却してしまうと申し上げました。
しかし、今回のイーブックイニシアティブジャパンのように、TOB期間終了間際になって買付価格を引き上げるというのは、珍しいことですがないとは言い切れません。
イーブックイニシアティブジャパンのケースを参考にすれば、TOB期間の終了間際まで待ったうえで市場で売却するのが良いのかもしれません。もしTOBに応募した場合、TOBが不成立なら買付価格で買い取ってもらえないうえ、株価も急落するでしょう。ヤフーが買付価格を引き上げなければそれが実際に起こり得たわけですから、やはり私であれば基本はTOBへの応募ではなく市場での売却を選択します。
もちろん、TOB期間終了間際まで売却せずに引っ張った場合、その途中でTOBが中止になることによる株価急落リスクがあります(過去に実際そのような例もあります)。株価急落リスク、売却後に買付価格が引き上げられることによる機会損失リスク、諸々考えるときりがありませんので最後は自己責任でどうするか決めるほかありません。保有株が2単元以上あるならば、半分は早めに売却、もう半分はTOB期間終了間際まで粘る、という形も取れるはずです。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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