今日の日本株(2016年6月2日)でも書きましたが、今のような二極化相場では、買いと売りを両方保有する「ロング・ショート戦略」が有効と思っています。
仮に今後日本株がここから大きく下落していくとした場合、先だって下降トレンドになっている銘柄の空売りをあらかじめ保有しておけば、買い銘柄の下落による損失を補てんすることができます。
では具体的に、どのようなタイミングにある銘柄を空売りすればよいのでしょうか。人によりやり方は色々あると思いますが、私が実行している方法のうち2つほどご紹介します。
(1)株価の戻り頭
例えば、ハードオフコーポレーション(2674)の日足チャートをご覧ください。5月25日に1248円の安値をつけた後反発し、5月30日に1362円まで戻りました。しかし25日移動平均線までの戻りすら達成できず、そこから再び下落に転じ、6月2日に1302円まで下がっています。
このように、株価が一旦底打ちして反発したものの反発力が弱く25日移動平均線まで達せずに、再度株価が下がり始めたところは新規空売りのタイミングとなります。
この場合の損切りは1362円超えに設定します。
(2)直近安値割れ
例えば、オリエンタルランド(4661)の日足チャートをみていただくと、6月2日にそれまでの安値を明確に割り込んでいることが分かります。
オリエンタルランドは最近の相場での反発力が非常に弱く、反発というより横ばいで推移するのが精いっぱいという感じでした。それが6月2日の全般相場の下落に伴い力尽きたというイメージです。
通常、直近安値割れのタイミングでは、25日移動平均線からのマイナスかい離が大きくなっているのが一般的ですから、新規空売りの実行にはかなりのリスクがあります。しかし、オリエンタルランドは直近安値割れのタイミングでもマイナスかい離が数%にとどまっています。このような状況なら、25日移動平均線超えで損切りとなった場合の損失も小さく済みますから空売り実行の絶好のタイミングとなります。
もちろん、空売りをしないという方も多いと思いますが、上記のようなタイミングは少なくとも新規買いのタイミングではない、ということさえ理解いただければ、余計な買いをして余計な損をすることは減らせるはずです。
10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。