急騰株は「当てる」のではなく「たまたま引っかかる」もの

ここ最近、新興市場銘柄を中心に、株価が短期間で急騰する銘柄が相次いでいます。個人投資家がこうした状況を目の当たりにすると、「自分も株価が急騰する銘柄に投資したい」とソワソワしてしまうものです。
こうした個人投資家の心理を狙ってか、投資顧問の中には「近々急騰する銘柄を急騰する前に推奨します」という触れ込みのところもあるようですが、果たして将来急騰する銘柄を事前に予測し、先回りして買い仕込むことはできるのでしょうか。
私は、そんなことはできないと思っています。急騰銘柄は、事前に「当てる」のではなく、投資した銘柄の中にたまたま急騰する銘柄があってラッキー、という程度に思っておくべきです。

例えば私の現時点での保有株にメディカル・データ・ビジョン(3902)やアライドアーキテクツ(6081)があり、足元の急騰でかなり含み益が膨らんでいます(株数は多くないのでたかが知れていますが)。私は、もちろん事前に急騰を予期して上昇前に買い仕込んだわけではありません。これらの銘柄がたまたま以前から400銘柄のウォッチリストに入っていた、メディカル・データ・ビジョンは25日移動平均線を超えた直後に買ったらたまたまその後急騰しただけ、アライドアーキテクツは直近高値超えでの逆指値注文を入れていたらたまたま上昇スタートの初期段階で買えただけ、です。
もちろん、投資した銘柄が「たまたま」急騰しただけとは言っても、その可能性を高める努力をすることは有用です。大型株より中小型株の方が急騰しやすいのは言うまでもありません。また、フィンテック関連、医療情報関連など、何かしらテーマ性を持った銘柄の方が急騰の可能性が高くなります。

なお、相場がちょっとしたバブル状態になってくると、市場で注目されているテーマに関連する銘柄なら「何でも上がる」状況になります。そうなれば、まだ大きく上昇していない銘柄を買っておき、それが急騰するのを待つ、という戦略も可能です。例えば、ここ最近のバイオ関連株は、当初はそーせいグループ(4565)やペプチドリーム(4587)がけん引していましたが、今では他のバイオ関連株についても株価が大きく上昇しています。まだ株価が大きく上昇する前なら、買った後に株価が下がってしまったとしても、適切に損切りすればダメージは小さく済みますから、試してみる価値はあります。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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