階段を1段のぼれば勝ち組個人投資家になれる

先日、マネー誌の編集者の方から取材を受けた際、「多くの個人投資家が、NISAで投資した株が塩漬けになっている」「ゆうちょ銀行株を買ったものの、値下がりしてしまい困っている」という話を聞きました。
確かに大々的な触れ込みで登場したNISAですが、その後の相場低迷により含み損を抱えた状態で耐え忍んでいる個人投資家は多いようです。また、郵政3社の上場自体は多くの個人投資家を巻き込んで成功に終わったものの、その後の株価は大きく値下がりしてしまっています。
でも、このように買った株が値下がりして困っている個人投資家が、その後どのような行動を取るかで、「勝ち組投資家」になれるか、その他大勢の「負け組投資家」にとどまってしまうかが決まってくると思います。

株式投資で成功する手法は数多くありますが、私が提唱・実践している「株価トレンド分析(※)」を用いて売買するのも1つです。これは非常に明快で、誰でも簡単に実行できる手法です。でも、株価トレンド分析を用いるためには1つ大きなハードルがあります。それが、「損切りを確実に実行しなければならない」ということです。
そもそも、保有株が塩漬けになって困っている個人投資家は、適切なタイミングで損切りをしなかったことに起因しています。実際、損切りができない個人投資家は圧倒的多数にのぼります。
(※)株価トレンド分析は拙著「株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書」に詳しく書いてありますのでそちらをご覧いただければ幸いです。

でも、買った株を保有し続けた結果塩漬けになってしまったのですから、「買った株を保有し続ける」という行為そのものが間違いであった可能性が高いわけです。そんなとき、今までの失敗は忘れ、心機一転、新たな手法をチャレンジする気持ちがある方、階段を1つ上に登ってみようと決心する方には、素晴らしい未来が開くチャンスがやってきます。
もちろん、成果が伴わない手法をいくら行っても意味がありません。私が実践している「株価トレンド分析」は、私自身が身銭を切って行い、満足のいく成果が出ている方法です。株式投資に行き詰っている方はぜひ試していただきたいと思っています。損切りは確かに抵抗があるかもしれませんが、保有株が値下がりを続けて多額の含み損を抱えるよりはるかに精神衛生上プラスです。結局は慣れの問題ですから、少額からでもぜひ実行していただきたいです。

なお、塩漬け状態になった株を10年、20年保有し続ければ何とかなる、とは決して思わないでください。そうならないことが多々あるのは、バブル崩壊後の日本株を見れば明らかです。
しかし、残念ながら、多くの専門家が個人投資家に対して「長期投資」をアドバイスしています。「10年、20年と長期保有できるのがプロにはできない個人投資家ならではの強みです」などとアドバイスする専門家には、「では20年間長期保有した結果保有株が5分の1になってしまったらどうすればよいのですか」と聞いてみてください。おそらく真っ当な返答はできないはずです。
私は、個人投資家が10年、20年と長期保有すべきとは口が裂けてもいうことができません。10年後、20年後、世の中がどうなっているか、投資した会社がどうなっているかなんて、誰も予想することができないからです。
このブログや拙著・楽天証券のコラムをお読みいただいている個人投資家の方には全員が勝ち組個人投資家になってもらいたい、それが私の望みです。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

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