シャープの業績下方修正に思うこと

本日(3月30日)、シャープ(6753)が業績の下方修正を発表し、連結営業損益予想を従来予想の100億円の黒字から、1700億円の赤字に修正しました。
「100億円の黒字」と「1700億円の赤字」では、あまりに差がありすぎ、いったい100億円の黒字予想は何だったのか?と思ってしまいたくなります。

しかし、シャープほどではないにせよ、企業が発表する業績予想はまず外れると思っておくくらいで丁度良いと思います。1年先の業績を正確に見通すのは、経営者であっても難しいのです。
一方、私たち個人投資家が投資対象とする銘柄を選ぶとき、過去の業績の推移に加えて、当期以降の業績予想も参考にして選ぶことが多いと思います。

個人投資家の投資対象銘柄選択の際に活用する一方で、それ自体当たらない業績予想に対して、一体どのように接したらよいでしょうか。
私が有効な手法と考えているのは、「株価のトレンドにしたがって売買する」ということです。
例えば、当期以降の業績予想が大幅な増収増益となっている銘柄を投資対象候補としてピックアップします。その上で、株価チャートで株価のトレンドをチェックし、上昇トレンドであれば新規買いします。上昇トレンドにない場合は上昇トレンド転換を待って新規買いします。
新規買いした後、株価が下落して下降トレンドに転換したら、速やかに保有株を売却します。
もし、企業が発表した業績予想が過大ならば、株価が上昇トレンドを継続して上げ続けることは難しいでしょう。なぜなら、プロ投資家は業績予想が過大であることを見越して、買いの手を引っ込めたり、保有株を売却するからです。逆に、企業発表の業績予想が適切なものであったり、企業発表よりも良い業績が期待できるとなれば、プロ投資家がこぞって買いを入れてくるため、株価は上昇トレンドを継続します。
つまり、株価のトレンドは、企業発表の業績予想が正しいものなのかどうか、かなりの割合で見抜いてくれているのです。

プロ投資家と同様のレベルで企業分析ができる方なら別ですが、私を含め一般の個人投資家にとっては、「増収増益予想の銘柄をピックアップ」→「上昇トレンドで買い」→「下降トレンド転換で売り」という方法を取るのが実践上大いに有効です。

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

関連記事