過去の戦略はもう使えない?

ネットで投資情報サイトをみていたところ、「大きく下押した銘柄のリバウンドを狙え」といった内容の記事がありました。移動平均線から大きくマイナスかい離した銘柄を買っておけば、大きなリバウンドが期待できる、というものです。
この記事を読んで私は思いました。「昔は自分もよくやったものだなあ」と。
私も以前は、日本株が大きく下がったとき、25日移動平均線からのマイナスかい離率が高い銘柄をピックアップして、新規買いしていました。この戦略は結構うまくいきました。まさに「谷深ければ山高し」のごとき、大きく売り込まれた銘柄はリバウンドも大きかったからです。

ところが最近は、大きく株価が売り込まれた銘柄であっても、あまりリバウンドしてくれないケースが非常に目立っています。そのため、私も今この戦略は使っていません。逆に「あまり下がらなかった強い銘柄」に着目するようにしています。
今の日本株は強い銘柄と弱い銘柄に二極化されていることは事実です。マーケット全体が大きく調整したときに大きく下落してしまうような弱い銘柄は、反発力も弱くなってしまいます。
特に今回の調整局面は、決算発表時期とも重なっているため、決算内容が嫌気されて大きく値下がりした銘柄は、なおのこと株価の戻りは期待しにくい点も注意が必要です。
例えば東亜建設(1885)は、2月12日に226円の安値をつけましたが、19日時点の株価は239円と、ほとんどリバウンドをしていません。ライドオン・エクスプレス(6082)も2月12日の安値後、一瞬リバウンドしたもののすぐに頭を押さえられ、19日には12日の安値すら割り込んでしまいそうな弱い動きになっていました。

もちろん、ダブル・スコープ(6619)のように、大きく売り込まれても、その後急速に株価が戻すものもあります。でも、大きく売り込まれたその時点では、そこから株価がどうなるかは分からないのです。分からないものを無理に予測するとたいてい失敗するのが株式投資です。多少株価が高くなるのは覚悟のうえ、25日移動平均線を超えるのを待ってから新規買いする方が安全です。

 

 

足立武志
1975年神奈川県生まれ。足立公認会計士・税理士事務所代表、株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資・資産運用に精通した足立公認会計士・税理士として、個人投資家への有益な情報発信に努めている。

10万部超ベストセラーの『株を買うなら最低知っておきたい ファンダメンタルズ投資の教科書』(ダイヤモンド社)など著書10冊超。楽天証券「トウシル」でのコラム連載11年、570回超。日本経済新聞社、楽天証券、マネックス証券、日本取引所グループ、資産運用EXPOなどセミナー講師多数。

関連記事