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「E」エリアや「F」エリアで不動産賃貸が相続税対策になるのか?(その2)

前回、借地権割合がEやFの土地に賃貸アパートを建てた場合の問題点をお話ししましたが、問題点はほかにもあります。その1つが、将来その土地を売却することになったとき、安く売らざるを得なくなってしまう恐れがあるという点です。
実際に相続が起こり、相続税を支払うだけのキャッシュがないときには、所有する不動産を売って資金をねん出する、というのは良くある話です。しかし、賃貸アパートを建てていたばかりに、こちらの希望するような価格で買い手がつかなくなってしまうのです。

土地購入予算2000万円で自宅を建てたいというAさんがいたとします。更地で2000万円の土地ならば、Aさんがその土地を気に入れば買ってくれるでしょう。
しかし、賃貸アパートが建っている土地ならばどうでしょうか。Aさんはその土地に自宅を建てたいのです。でも、その土地には賃貸アパートが建っています。となれば、自宅を建てるためには賃貸アパートを取り壊さなければなりません。

取り壊しには数百万円単位の費用がかかります。取り壊し費用をAさんが持つのであれば、当然、Aさんは取り壊し費用を控除した価格、例えば1600万円でなければこの土地を買ってくれないでしょう。
さらに、賃貸アパートにまだ入居者が残っていたら、この入居者に退去してもらわなければ取り壊すことができません。そのための費用はアパートの大家側が負担しなければならないでしょう。

このように、下手に賃貸アパートを建ててしまった結果、2000万円で売れるはずの土地が1600万円でしか売れない、という事態が生じてしまうのです。
確かに賃貸アパートを建てたことにより相続税評価額は多少下がります。でも、トータルのキャッシュ・フローでみれば、建てなかった方が良かった可能性は大いにあります。
賃貸アパートを建てたことによりキャッシュが減少し、相続税支払が賄えず、賃貸アパートをやむなく安値で売却せざるを得ないという悪循環に陥ってしまいかねないのです。

単に相続税を下げることに力を注ぐのではなく、トータルのキャッシュ・フローがどうなるのかを予測し、相続税の納税資金確保も踏まえた総合的な相続対策が必要です。