「E」エリアや「F」エリアで不動産賃貸が相続税対策になるのか?(その1)

2月7日のブログにて、路線価図に記されたアルファベットが「E」、「F」のエリアでは、不動産賃貸をしても相続税対策にはつながらない可能性が高いのではないかと述べました。
なぜ「E」や「F」エリアでの不動産賃貸が相続税対策につながらないか、その理由の1つが貸家建付地の評価にあります。

貸家建付地は、次の算式で計算されます。
自用地としての評価額-自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

もし、自用地評価額が100、借家権割合30%、賃貸割合100%だとして、借地権割合が「A」のエリアなら、借地権割合は90%なので、100-(100×0.9×0.3×1)=73となり、相続税評価額が27%下がります。
しかし、借地権割合が「F」のエリアだと、借地権割合が40%のため、100-(100×0.4×0.3×1)=88となり、相続税評価額が12%しか下がりません。
賃貸物件を建てたり、所有する建物を賃貸に回して土地の評価額を引き下げるのは相続税対策の王道中の王道ですが、借地権割合がどのくらいかによって、効果が大きく変わってきてしまうのが事実です。

そして、借地権割合がEやFの土地の多くは、その土地自体に需要がそれほどありません。そのため、「実際の時価より相続税評価額の方が高い」という現象が生じている場合が多々あります。
通常、土地の相続税評価額は、実際の時価(公示価格)の80%で評価されていることになっています。しかし実態は必ずしもその通りにはなっていません。一等地ほど、公示価格より相続税評価額が低く、逆に郊外・地方にいくほど相続税評価額の方が逆に公示価格より高くなっているという傾向があります。
地方では、そもそも売りに出しても買い手が全くいない、という地域すら珍しくありません。実際、私のお客様が保有する物件で、東京から1時間で行け、最寄駅からも7~8分の距離にあるにもかかわらず、相続税評価額では到底買い手がつかない、というところもあります(借地権割合はFです)。

ですから、借地権割合がFの土地で、自用地の評価額が100のところ、実際に売買するときには60でしか売れないのであれば、賃貸アパートを建てて貸家建付地にして相続税評価額を88に下げるよりも、その土地自体を売却してしまった方がよっぽど相続税対策になります。土地のまま持っていれば100や88で評価されるところ、売却して60の現金にすれば60で評価されるからです。賃貸アパートを建てた方が良いのは、満室に近い入居者が期待でき、売却するよりもキャッシュ・フローの面でプラスになる場合くらいです。

注.借地権割合がGの土地でももちろん同様の問題があります。ただ、首都圏やその郊外で借地権割合がEやFの土地は数多くある一方でGの土地はあまりないので、EやFにフォーカスをあててご説明した次第です。